福利厚生は「何を」チェックするべき?:モノづくり業界転職トレンド(15)(1/2 ページ)
転職時に福利厚生を重視するケースが増え、企業側も充実を図ろうとしている。さまざまな福利厚生があるなかで、具体的にどのようなことに着目して転職先を検討すべきか、転職コンサルタントに話を聞いた。
転職先を選定するには、仕事内容や給与などのほかに「福利厚生」も無視できない。昨今は、ワークライフバランスや働き方改革といった世の中の流れもあって、福利厚生を重視する求職者が増え、企業側も充実を図ろうとしている。さまざまな福利厚生があるなかで、具体的にどのようなことに着目して転職先を検討すべきか、自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイックの人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャー 関寺庸平氏に聞いた。
福利厚生は多種多様になっている
福利厚生には、健康保険、雇用保険、厚生年金など、法律で企業に義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が自由に設定することができる「法定外福利厚生」がある。今回取り上げるのは後者だが、こちらは非常に幅広い。
かつての福利厚生は、住宅ローンや家賃の補助、社員食堂や食事の補助など、生活に必要な費用を補助するものが中心。その他には、社員旅行や運動会などの行事や部活動、大手企業では保養所など、レクリエーション的なものもいくつか用意されているというのが一般的だった。
最近では福利厚生のラインアップは様変わりしている。「企業のアイデア次第でどのような補助やサービスでも設けることができるので、非常に多種多様になっている」と関寺氏。育児や介護に伴う休暇や時短勤務などは、もはや当たり前となっているが、記念日やリフレッシュなどさまざまな目的の休暇や、自己研鑽(けんさん)やスキルアップのための研修や図書費のサポート、スポーツジムやホテルなどとの提携、また社内にカフェや仮眠スペースを設けたり、朝食を提供したりと、非常にバラエティに富んでいる。福利厚生自体をアウトソーシングすることで、ラインアップを充実させている企業も多く、社員それぞれにポイントが与えられ、ラインアップの中から自由なサービスを選んで使えるというスタイルもある。
一方、全員参加であった会社の運動会などは少なくなってきたが、社員間の交流や一体感の醸成などを目的に、任意で参加できるパーティーやイベント、レクリエーションなどを企画するケースも出てきている。
一般に歴史が長い大手メーカーなどは、費用/施設面の福利厚生が充実していることが多い。中小企業は、福利厚生に大手ほどの資金を投入することは難しいものの、独自のアイデアで働きやすさに寄与するメニューを設定している傾向がある。またIT系に近い企業やベンチャーなどは、オフィスの雰囲気がそうであるように、福利厚生も自由な発想で設けられていることが多く、大手もそれに追随するように、従来の福利厚生に新たなメニューを追加して強化している。企業によっては、社員からニーズやアイデアを募っているケースもある。「福利厚生は、社員の働きやすさ、モチベーションや定着率を高める取り組みの一つ。働くことに対する考え方や価値観が多様化していることへの対応として、福利厚生も多種多様になっている」と関寺氏は言う。
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