NTTドコモの5Gは製造業を強く意識、工場の故障予知サービスもワンストップ提供:製造業IoT(2/2 ページ)
NTTドコモが2020年年3月25日から次世代移動通信方式である5Gを用いた通信サービスを提供開始する。これまでの新たな移動通信方式のサービス開始の発表と大きく異なるのは、一般ユーザー向けにとどまらず、製造業をはじめとする企業利用を前提としたB2B向けソリューションも同時に発表している点だ。
MECも運用開始、低遅延で高セキュリティのクラウドサービスを提供
今回の5Gサービス発表でもう1つ注目すべき点は、通信端末側により近い側でコンピューティング処理を行うMEC(Multi-access Edge Computing)を採用したクラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」の提供だろう。
ドコモオープンイノベーションクラウドは、MECで実現可能とされる低遅延で高セキュリティのクラウドサービスで、NTTドコモ網内の設備にクラウド基盤を構築することで実現している。ドコモ5Gオープンパートナープログラムに参加するパートナー向けに、トライアル環境を提供し、33社と技術検証を進めてきたという。
今回の商用サービス提供開始に当たり、2020年3月25日に東京拠点を開設する。クラウド基盤には、NTTドコモが開発した画像認識APIなどの技術や、NTTドコモやパートナーが提供する映像伝送、VR/ARなどの11ソリューションを順次搭載していく予定だ。東京拠点における仮想マシンインスタンスの月額料金は4000円からとなっている。
このドコモオープンイノベーションクラウドとともに、2020年5月下旬以降に接続端末とクラウド基盤間の通信経路を最適化することでネットワーク伝送遅延を短縮する「クラウドダイレクト」の提供も始める。これと合わせて、ドコモオープンイノベーションクラウドの拠点を神奈川、大阪、大分に開設し、4拠点体制とする。
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