特集
スタートアップが中小製造業のAI導入をリード、そのために必要なナレッジとは?:中小製造業×スタートアップ(3/3 ページ)
関東経済産業局は、AIやIoTの分野で優れた技術力を持つスタートアップと中堅・中小企業のマッチング事業を2018年から実施している。その2回目となる2019年度のプロジェクト発表会が行われた。
中小企業のAI導入、最低限押さえておくべき3つのポイント
このように、自社が抱える課題の解決に合致するAI企業の技術力、対応力を把握することが、ミスマッチを防ぐ上で重要となるわけだが、現実問題として発注側である中小企業がこれらを正確に把握することは難しい。
そこで、グリアコンピューティングの田上氏は、“AI導入を検討する上で、最低限押さえておくべき3つのポイント”を紹介した。
「1つ目は、自社の課題を明確にしておくこと。2つ目は、事前に必要なデータを蓄積しておくことだ。データがないことにはAI導入は実現できないので、まずは現状で収集できるデータの蓄積や収集方法を検討、準備しておく必要がある。そして、3つ目が100%の精度を求めず、過度な期待をAIに抱かないことだ」(田上氏)
今後、DXの事例が増えていくことで、ミスマッチを防ぐためのノウハウや仕組みが充実していくことは予想されるが、どれだけ環境が整ったとしても、双方が正しくお互いを理解し合うことは重要なポイントだ。
関東経済産業局では、次年度以降もこうした取り組みを継続し、スタートアップとの連携を推し進めることで、中堅・中小企業のDXを支援していきたいとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 中小製造業とスタートアップは最強タッグ!? AIやIoTの素早い活用が可能に
関東経済産業局は、関東圏の中小製造業とスタートアップによるマッチング事業プロジェクトの成果発表イベントを実施。2組のマッチング事例発表の他、中小製造業3社とスタートアップ3社によるパネルディスカッションも開催され、連携のメリットなどが語られた。 - 中小製造業のIoT活用は難しくない!? 先行する3社はなぜ実現できたのか
「AWS Summit Tokyo 2018」において、IoTやAIの活用で先進的な取り組みを進めている3社の中小製造業が登壇する講演が行われた。武州工業、旭鉄工、IBUKIが自社の取り組みを紹介するとともに、どのようにすればIoT/AI活用を進められるかについて意見を交わした。 - 中堅中小製造業がIoTで成果を出すために必要なもの
課題とされる中堅中小製造業のIoT活用だが、活用を広げるためには何が必要か――。オートメーションと計測の先端技術総合展「SCF2017/計測展2017 TOKYO」では、「中堅・中小製造業のIoT導入ユースケース紹介」をテーマにパネルディスカッションが開催された。 - 中小製造業の労働生産性向上の現在地、多能工化や設備投資は何をもたらしたか
中小企業の現状を示す「2018年版中小企業白書」が公開された。本連載では「中小製造業の生産性革命は、深刻化する人手不足の突破口になり得るか」をテーマとし、中小製造業の労働生産性向上に向けた取り組みを3回に分けて紹介する。第2回ではITによる労働生産性向上策を取り上げたが、第3回ではそれ以外のさまざまな取り組みについて紹介する。 - 日本の低い経済成長率の要因は本当に中小企業なのか
日本の中小製造業の生産性は本当に低いのか――。中小製造業の将来像をどう描くのかをテーマに、由紀ホールディングス 代表取締役社長で由紀精密 代表取締役である大坪正人氏が呼び掛け、識者によるパネルディスカッションが行われた。本稿ではその内容をお届けする。 - 革新的な企業トップ100で日本は2位に転落、特許の「影響力」に課題か
クラリベイト アナリティクスは革新性の高い企業を選出する「Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2020」を発表した。国別受賞数で日本は2位に後退した。