58m離れた場所で作業可能な溶接用中継フィーダシステム:FAニュース
ダイヘンは、最長58m離れた場所の作業ができる、溶接用中継フィーダシステム「デジタルらくらくフィーダ」を発売した。重いワイヤ送給装置を動かさなくても作業範囲を大幅に拡大できる。
ダイヘンは2020年2月17日、最長58m離れた場所の作業ができるCO2、MAG、MIG溶接用中継フィーダシステム「デジタルらくらくフィーダ」を発売した。価格は、軟鋼10m仕様が75万2300円、軟鋼20m仕様が88万4900円、軟鋼30m仕様が110万300円、アルミ10m仕様が83万5200円、アルミ20m仕様が96万7700円、アルミ30m仕様が119万9700円(各税別)だ。
デジタルらくらくフィーダは、溶接電源から最長で58m、送給装置から36m離れた場所の溶接作業を可能にするフィーダシステムだ。独自の溶接制御LSI「Welbee」がワイヤ送給装置と中継フィーダに搭載した送給ユニットを精密にコントロールし、離れた場所でも安定かつ高品質な溶接を可能にする。
質量は3.8kgで、ワイヤ送給装置の約10分の1に軽量化しており、中継フィーダの移動のみで作業可能。従来の溶接トーチと比較すると作業半径は約6倍で、重いワイヤ送給装置を動かさなくても作業範囲を大幅に拡大でき、作業効率の向上に寄与する。
本体には、方向転換や段差の乗り越えなどを容易にするソリ形状を採用しており、フィーダ移動時の負担を軽減する。
フィーダ本体は高強度樹脂製で、高い堅牢性を備える。ワイヤ送給装置とフィーダ本体をつなぐ中間ケーブルの長さは10mと20mから選択でき、各種ケーブルを組み合わせることで最大30mまで延長できる。
また、リモコンパネルを搭載し、作業場所で電流、電圧の設定、溶接条件の変更や条件メモリの記憶、読出し、インチングやエラー表示の確認などが可能だ。
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