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液状ゴムの3Dプリントが国内本格展開へ、柔軟で複雑な形状を量産可能日本ものづくりワールド 2020

ダウ・東レは「日本ものづくりワールド 2020」(会期:2020年2月26〜28日/場所:幕張メッセ)内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、ECCOのシューズなどで実績のあるシリコーンゴムを使用した積層造形技術の価値を訴えた。

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 ダウ・東レは「日本ものづくりワールド 2020」(会期:2020年2月26〜28日/場所:幕張メッセ)内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、ECCOのシューズなどで実績のあるシリコーンゴムを使用した液体積層造形技術(LAM)の価値を訴えた。

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LAMによりシューズミッドソールを造形する様子(クリックで拡大)

シリコーンゴムの物性を生かし柔軟で複雑な形状を造形

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「SILASTIC 3D 3335 LSR」とLAM技術を組み合わせた場合の性能(クリックで拡大)出典:ダウ・東レ

 ダウ・東レが出展したのは、液体の物質を積層造形する技術である液体積層方式(LAM)用の液状シリコーンゴム「SILASTIC 3D 3335 Liquid Silicone Rubber」(以下、SILASTIC 3D 3335 LSR)である。LAMはドイツの3DプリンタメーカーであるGerman RepRapが開発した積層造形技術で、液状ゴムなどの液体材料を積層可能とした点が特徴だ。

 「SILASTIC 3D 3335 LSR」は2液の白金触媒による熱硬化性の液状シリコーンゴムで、「柔軟性」「耐熱・耐寒性」「加工性」などの特徴と、積層造形技術による「少量多品種生産」「複雑形状のカスタマイズ」「最適なプロトタイプ作成」などの特徴を持つ。

 一方で、積層造形技術には引っ張り強度や、耐久性などで懸念があるが、「SILASTIC 3D 3335 LSR」とLAM技術を組み合わせた場合「シリコーンゴムの持つ物性により樹脂などに対し強度が落ちる面はあるが、シリコーンゴムとの比較で考えると、金型による射出成形での性能とほぼ同等の耐久性や強度は実現できている。特に積層造形技術では造形方向による耐久性の違いなどが課題視されているが、XYZの全方向において同等の引っ張り強度がある点も特徴だ」とダウ・東レ 研究開発部門 応用技術3部 主任研究員 石神直哉氏は述べている。

ECCOのシューズで既に国内でも展開中

 「SILASTIC 3D 3335 LSR」とGerman RepRapによるLAM技術は既に国内でも導入されている。その1つが、靴メーカーのECCOが展開するカスタマイズシューズプロジェクト「QUANT-U(クアントゥー)」である(※)。「QUANT-U」は店頭で顧客の足と歩行の癖を計測し、そのデータを基にシューズのカスタマイズミッドソールをGerman RepRapの3Dプリンタで造形して、提供するものだ。伊勢丹新宿店と阪急梅田本店で2019年2月から販売を開始している。

(※)関連記事:靴にもマスカスタマイゼーションの波、店頭でシューズを作る体験は売れるのか

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ECCOの「QUANT-U」によるシューズとカスタマイズミッドソール(クリックで拡大)

 これらの実績があることから日本でも「SILASTIC 3D 3335 LSR」とGerman RepRapによるLAM技術への関心は高かったというが、国内でGerman RepRapの3Dプリンタを展開する代理店が決まっておらず、国内での導入は進んでいなかった。それが2019年末に山一ハガネが代理店として決まり、2020年から本格的に国内導入を進めていくことになったという。「従来は関心があっても国内での導入支援を行うパートナーが不在で、さまざまな用途で活用する流れにはならなかった。2020年から本格的な用途開拓が進む」と石神氏は期待を寄せる。

 「SILASTIC 3D 3335 LSR」とGerman RepRapによるLAM技術は、シューズのミッドソールなどの他、イヤフォンやウェアラブルデバイス、自動車のシリコーンゴム使用部分など、さまざまな用途で使用できるという。石神氏は「積層造形技術を生かした中空形状や袋状の複雑形状などが造形できる。また、従来は3Dプリンタで樹脂部品などを作ってもそれに付随するパッキンは打ち抜きで作り無駄が増えるようなこともあったが、シリコーンゴムでこのパッキン部分も積層造形できることで無駄を低減できる」と語っている。

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