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最適設計パッケージシステムで、空調用ファン形状最適化の工数を約85%削減:CAEニュース
三菱重工サーマルシステムズは、ヴァイナスの設計者向け最適設計パッケージシステム「New Sculptor」を活用し、空調用ファン形状最適化の工数を約85%削減した。自動化システムを構築し、効率的なファン形状のパラメーター設計に成功した。
ヴァイナスは2020年2月5日、三菱重工サーマルシステムズが、同社の設計者向け最適設計パッケージシステム「New Sculptor」を活用し、空調用ファン形状の最適化作業の工数を削減したと発表した。
三菱重工サーマルシステムズは、New Sculptorを用いて、最適なファン形状の探査を自動化するシステムを構築。効率的なファン形状のパラメーター設計に成功した。形状変更から解析までのプロセスを自動化することで、作業時間を従来より約85%短縮した。
最適解探査は、「形状モーフィングの設定」「設計変数の設定」「目的関数の設定」「ソルバ自動実行用スクリプトの設定」「パラメータースタディの実行(実験計画法)」「結果分析」「最適解探査(勾配法)」の7ステップを経て実行する。流体解析ソルバ以外の全機能は、New Sculptorに標準機能としてビルトインされている。
作業時間短縮以外にも、翼圧力面に対して静圧が高い領域が減少し、急な減速の影響が少ないファン形状が得られた。また、翼負圧面に対して、流線の半径方向の偏りと圧力の急変化が少ないファン形状が得られた。
三菱重工サーマルシステムズでは今後、ファン入力低減のためのパラメーター設計だけでなく、他のパラメーターによる最適解の探索、流体解析と構造解析の連携による空力性能とファン強度の適正化を目指すとしている。
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