大規模アセンブリモデル解析の計算時間を短縮する機構解析ソフトウェア:CAEニュース
サイバネットシステムは、機構解析が可能な「ANSYS Motion ACT」を発売した。「ANSYS Workbench」環境で動作し、変形やすべり、摩擦を考慮した大規模アセンブリモデルの解析にかかる計算時間を大幅に削減する。
サイバネットシステムは2019年12月12日、ANSYSソフトウェアの統合操作環境「ANSYS Workbench」で利用できる機構解析ソフトウェア「ANSYS Motion ACT(アンシスモーションエーシーティ)」を発売した。
ANSYS Workbenchは、構造、熱流体、電磁界などの解析機能を搭載し、直感的で使いやすい操作環境を提供する。ANSYS Motion ACTは、ANSYS Workbench上で弾性変形を含めた本格的な機構解析を可能にし、変形やすべり、摩擦を考慮した大規模アセンブリモデルの解析にかかる計算時間を大幅に削減する。
自動車エンジンのクランク機構やギアボックス内の歯車など、動作を伴うアセンブリされた製品の現象を確認する機構解析は、製造業の製品開発において重要性が高まっている。しかし、実際の機構部品の挙動を表現するためには、部品の変形や部品同士の摩擦、すべりなどの接触条件を考慮した詳細な計算が必要になるなどの課題があり、実用化が困難だった
ゴムベルトとプーリーのアセンブリモデルの解析事例では、プーリーを移動してゴムベルトにテンションを発生させた状態を作り出してから回転させることで、実際の設置状態における動力伝達の状況やゴムベルトが振動する挙動をシミュレーションできる。これにより、実現象を忠実に再現した機構を伴う製品の動作検証が可能となる。
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