トライアルが首都圏初のスマートストア、リテールAIによる流通情報革命の現場に:スマートリテール(3/3 ページ)
トライアルカンパニー、サントリー酒類、日本ハム、日本アクセス、ムロオ、フクシマガリレイがリテールAI(人工知能)プラットフォームプロジェクト「REAIL(リアイル)」の戦略について説明。トライアルとして首都圏初のスマートストアとなる長沼店にリテールAIなどを全面採用し実証を進めていく計画だ。
限界を迎える物流業界、競争領域から協業領域に変えられるか
ムロオは広島県に本社を置く食品物流企業だ。年間の売上高が630億円だが、取り扱い金額は1.6兆円におよび、全国に74拠点を展開している。同社社長の山下俊一郎氏は「労基問題、人件費の高騰、過積載、それらに対する取り締まりの厳しさなど、物流業界は多くの課題を抱えており、既に限界を迎えている」と指摘する。
そこでムロオがリアイルで提唱しているのが、川上から川下までの物流を個社による部分最適ではなく全体最適で実現するリテール・ロジスティクス・プラットフォーム構想である。「物流を競争領域から協業領域に変える」(山下氏)。
これまで小売りや卸などの各企業が専用の物流センターを設けていたが、そこへの個別最適化がムダ・ムリ・ムラを生んでいた。今後は、これらの物流センターをエリアごとに集約する「エリア汎用センター」を設けて物流の全体最適化を図る。
具体的な取り組みとしては、トライアルの北九州エリアの基幹物流センターである白鳥物流センターを、このエリア汎用センターに変えて行く方針だ。
売れるショーケース、もうかるショーケースが必要に
フクシマガリレイは、小売店舗で用いられる冷凍冷蔵ショーケースを開発・販売する企業だ。同社 専務取締役 営業本部長の福島豪氏は「国内や東南アジアなどで競合との競争が激化している。これまでの冷凍冷蔵ショーケースは鮮度管理や省エネが重視されてきたが、これからは売れるショーケース、もうかるショーケースが必要になる。そして、リアルの小売店舗をメディア化し活性化する一翼を担っていきたい」と強調する。
同社は、リテールAIカメラや電子棚札を外付けしたショーケース、リテールAIカメラどで収集したデータと連動するサイネージなどを提供してきた。トライアルの長沼店では、ショーケースのリテールAIカメラをより目立たない内蔵型にした新型を導入する他、リテールAIカメラを設置しない商品棚の人流データを収集できるように、トライアルが開発したスマートレジカートと連携するビーコンの組み込みなども検討している。
福島氏は「2019年11月に現在の社名に変更し、併せて新本社に移った。この新本社にはオープンイノベーション拠点『MILAB(ミラボ)』と、リテールAIを発信・検証する未来志向店舗『MILABストア』を設けた。これからは、リテールAIのファシリティ企業として日本の流通産業を変えていきたい」と述べている。
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