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トライアルが首都圏初のスマートストア、リテールAIによる流通情報革命の現場にスマートリテール(2/3 ページ)

トライアルカンパニー、サントリー酒類、日本ハム、日本アクセス、ムロオ、フクシマガリレイがリテールAI(人工知能)プラットフォームプロジェクト「REAIL(リアイル)」の戦略について説明。トライアルとして首都圏初のスマートストアとなる長沼店にリテールAIなどを全面採用し実証を進めていく計画だ。

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日本ハムは新商品開発と棚割り提案に活用

 日本ハムは、リアイルの活動を通して、顧客のニーズを捉えた商品開発や、小売店舗向けに新たな棚割りを提案していく考えだ。同社 マーケティング推進部長 兼 新市場創造部長の小村勝氏は「微減が続く国内のハム・ソーセージ市場は、売り場に変化がなく、新たなヒット商品も生まれていない。例えば当社のヒット商品『シャウエッセン』が登場したのは35年前だ。ここ10年以上は変化がなかったと言っていいだろう」と訴える。

 そこで、従来のPOSデータや一般的なマーケティングデータではない新たな手法として、トライアルが導入しているリテールAIカメラに着目した。「商品開発や棚割りだけでなく、製造業として重視する製造計画に役立つ需要予測などにも活用できるだろう」(小村氏)。

日本ハムのリテールAI活用領域
日本ハムのリテールAI活用領域。商品開発や棚割りだけにとどまらない(クリックで拡大) 出典:日本ハム

 日本ハムは2020年2月20日、シャウエッセンブランドのベーコンタイプ商品「シャウベーコロン」を新発売している。この商品開発時の仮説を、リテールAIのデータなどから検証するなどしていきたい考えだ。また、ハム・ソーセージを扱う競合企業をも巻き込んだ「ハムソーのプラットフォームを作っていきたい」(小村氏)ともしている。

「低温AIプラットフォーム」の構築を目指す日本アクセス

 日本アクセスは、特にチルドやフローズンといった低温カテゴリーで国内トップシェアを握る伊藤忠グループの食品卸企業である。

 食品卸業界では、日配カテゴリーで500億円に上るといわれる食品ロスや、寡占化による価格競争の激化が課題として挙げられる。同社 マーケティング部 部長代行の今津達也氏は「当社としては付加価値型企業への移行を目指している。リアイルでは、トライアルのスマートストアのデータを活用して『低温AIプラットフォーム』を構築したいと考えている」と語る。

 この低温AIプラットフォームでは、先述の課題にも上がっている食品ロスの削減がテーマの1つになっている。店舗のデータを見てみると、廃棄ロスを減らそうとするあまり、チャンスロスがより多く発生していることが分かった。そこで、リテールAIカメラによる欠品状態の把握と棚前通過人数当たりの購入予測により、チャンスロスの改善につなげたという。「低温カテゴリー以上に食品ロスが大きいのが、消費期限が短い漬物や納豆などだ。これらの食品にもリテールAIカメラの技術を適用していきたい」(今津氏)という。

リテールAIカメラを活用したチャンスロス分析
リテールAIカメラを活用したチャンスロス分析(クリックで拡大) 出典:日本アクセス

 長沼店では、リテールAIカメラで可視化される人流データとPOSデータ、棚の充足率データを基に、発注精度の向上、品ぞろえ見直しなどに取り組む。さらには、動的に価格設定を変えるダイナミックプライシングやPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)につなげて行くことも視野に入る。今津氏は「昔から理論的には語られてきたことで、机上の空論とする向きもあるだろうが、今や実現可能な環境になったということだ。何とか成果につなげたい」と意気込む。

長沼店での取り組み内容
長沼店での取り組み内容(クリックで拡大) 出典:日本アクセス

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