企業に「会いたい」と思わせる職務経歴書はどう書く?:モノづくり業界転職トレンド(17)(2/2 ページ)
不透明な市況感を背景に、企業は採用に慎重になっている。面接で“会って”もらうためには、その前の書類選考での「職務経歴書」が重要となる。では職務経歴書はどう書けばいいのか。転職コンサルタントに話を聞いた。
人物像をイメージしようとしている
もう一つ最近の傾向として、職務経歴書に書かれたことから、その人の人物像を知ろうとする企業が目立つようになっていることがある。「学生時代に何を勉強し、どんな仕事をして、何を身に付けたのか。その仕事は社内においてどういう位置付けで、どんなマインドで取り組んできたのか。これから何をしたいと思っているのか。そういうキャリアのストーリーをイメージして、自社に合う人材かどうか見ようとしている」(関寺氏)という。
人物像をイメージできるような職務経歴書は、そう簡単に書けるものではない。時間が経てば、学生時代や昔の仕事のことは忘れてしまう。そこで転職活動を始める前に、一度ベースとなる職務経歴書を作っておくことをお勧めする。そのベースを毎年アップデートしたり、応募する業界や職種に応じて数パターンに書き分けたり、カスタマイズしたりするといいだろう。一度書いてみると、いきあたりばったりに思えたことが意外とつながっていたり、自分にとって大事なことが見えたりと、気付きもあるはずだ。
企業が求めている人物像は、その企業のWebサイトの「新卒採用」ページにもヒントがある。新卒はスキル評価が難しく、人物評価に重きを置くからだ。企業の理念や活躍している社員、どういう人が欲しいのかといった情報は、職務経歴書だけでなく、面接にも役立つ。
適量で、読みやすく、分かりやすく
最後に書類作成の観点からポイントを整理しておこう。
「職務経歴書は、商品のプレゼンと同じ」と関寺氏。フォーマットは、要約→具体的な仕事内容→自己PRという、基本的なプレゼンのスタイルと同じだ。伝えたいことはたくさんあるかもしれないが、あまりダラダラと長いのは逆効果。関寺氏は「20歳代なら1枚、30〜40歳代なら2〜3枚」とアドバイスしているそうだ。
情報処理能力が重要視される昨今、文書の構成、要約や伝える能力も企業の判断材料の一つとなっている。ポイントは、適量で、読みやすく、分かりやすく。関寺氏は「自分が伝えたいことが伝わる、最小の文章量で書くのがベスト」という。
「自分が書いた職務経歴書は、希望の企業に適しているのか」は気になるところ。「通過した職務経歴書も、見送られた職務経歴書もたくさん見ているのはエージェントならでは」(関寺氏)だろう。最初の関門でありながら、重要度が増している職務経歴書。その企業、業界などの特徴やジャッジの傾向も理解しているエージェントに登録して、アドバイスを受けるのもいいかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 自動車業界の転職市場、採用傾向はどうなる?
ソニーが電気自動車を、トヨタ自動車がスマートシティ構想を発表するなど驚きのニュースで始まった2020年。これから自動車業界はどう動き、採用はどのような影響を受けるのか。転職コンサルタントに話を聞いた。 - 福利厚生は「何を」チェックするべき?
転職時に福利厚生を重視するケースが増え、企業側も充実を図ろうとしている。さまざまな福利厚生があるなかで、具体的にどのようなことに着目して転職先を検討すべきか、転職コンサルタントに話を聞いた。 - ベンチャーに転職するメリットとデメリット
新規参入が難しいとされてきた自動車業界だが、CASEやMaaSなど新しい概念による変革の波とともにベンチャーも台頭してきている。今回は自動車業界におけるベンチャーへの転職のメリット、デメリットなどについて、転職コンサルタントに話を聞いた。 - 就職/転職したばかりなのに辞めたくなったら
厚生労働省のデータを見ると就職・転職後に短期間で辞める人は意外と少なくない。入社してすぐに転職したくなったらどう考えればいいのか、そうならないために事前にできることはあるのか。転職コンサルタントに話を聞いた。 - U・Iターンの転職を成功させるコツ
常に一定のニーズがあるU・Iターン転職。特にUターン転職は、親の介護や子育てサポートなどで近年は微増の傾向だ。U・Iターン転職の現状、コツや注意点などについて転職コンサルタントに話を聞いた。