RFIDを活用した店舗での情報共有システムの実証実験に関する成果報告書を公開:スマートリテール
大日本印刷は、ICタグを活用した情報共有システムの実証実験に関する成果報告書を公開した。店舗でのRFID活用によるダイナミックプライシングと広告配信効果、家庭内での新サービスの可能性などを検証した。
大日本印刷は2019年12月26日、ICタグ(RFID)を活用した情報共有システムの実証実験に関する成果報告書を公開した。店舗でのRFID活用によるダイナミックプライシングと広告配信効果や、RFIDを用いて家庭内での商品の使用状況を把握することによる新サービスの可能性などを検証した。
実証実験は経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、2019年2月12〜28日に実施した。実験には、約60の企業、機関、大学が参加し、RFIDを活用したデータ連携の推進やサプライチェーンの効率化、食品ロス、廃棄ロスの削減などの社会課題の解決を目指した。
実験では、協力先の5店舗で情報共有システムと利用者のスマートフォンアプリなどをRFIDを用いて接続した。実店舗で、在庫品の消費期限、賞味期限が間近になった食品の販売価格を下げるといった、ダイナミックプライシングを実施。買い上げ率が上がる傾向が確認された。また、来店者が商品を手にした際に、店内サイネージで関連情報を配信。対象商品や上位商品を表示した際に買い上げ率が増加した一方で、競合商品では効果が見られなかった。
さらに、モニターの協力を得て、冷蔵庫、洗面所、ごみ箱の3カ所でRFIDが貼付された商品を「使った」「捨てた」といった状況データを取得した。商品購入のタイミングや使用期限切れ、ストック切れなどの情報をメーカーと共有することで、メーカーと利用者双方に有益なサービスを提供できる可能性が高いことが確認された。
また、コンビニエンスストアなどにおける17の商品について、RFIDの適切な貼り付け位置の指針となる「個品(商品)への電子タグ貼付に関するガイドライン」、物流時の商品の梱包やカゴ車へのRFID取り付け位置を示す「物流形態における電子タグ貼付に関するガイドライン」を策定。サプライチェーンにおける情報共有の在り方の1つとして、「EPCISデータ連携ガイドライン」を策定した。EPCISとは、商品の移動情報などをサーバ上に蓄え、共有する情報サービスだ。
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