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細胞の3次元培養法の自動化技術を開発:医療機器ニュース
日立製作所は、同社のiPS細胞大量自動培養装置を用いて、細胞の3次元培養法の新たな自動化技術を開発した。また、細胞の自動製造プロセス構築支援サービスの提供も開始した。
日立製作所は2019年11月26日、同社のiPS細胞大量自動培養装置を用いて、細胞の3次元培養法の新たな自動化技術を開発したと発表した。マイオリッジとの共同研究の成果だ。また、同年12月1日より、細胞の製造自動化を検討している顧客に対し、最適な細胞の製造方法を提案する、自動製造プロセス構築支援サービスの提供を開始した。
本技術では、2次元培養法向けの大量培養容器を用いて、心筋細胞の細胞凝集塊を均一かつ高密度に分布させる3次元培養を自動化した。従来の3次元培養法で課題となっていた培地コスト、培地撹拌(かくはん)によるシェアストレス、培地交換作業の複雑さを解決する。心筋細胞以外のさまざまな細胞にも適用できると考えられている。
自動製造プロセスの構築支援サービスでは、顧客の細胞製造プロセスを精査し、細胞によって異なる重要パラメーターの抽出や最適化方法を提案する。これにより、顧客の細胞製造自動化を支援する。
再生医療には大量の細胞が必要な一方、製品の製造に使われる細胞培養はほとんどが熟練技術者の手技によるもので、製造できる細胞数は限られている。同社はiPS細胞の大量自動培養技術の開発に取り組んでおり、2017年には研究用自動培養装置を開発。2019年3月には、GCTP省令に適合する装置として、iPS細胞大量自動培養装置を製品化している。
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