ニュース
血液1滴から13種類のがんを99%の精度で検出する技術を開発:医療機器ニュース
東芝は、血液中のマイクロRNAを使った、簡便で高精度ながん検出技術を開発した。1滴の血液から、13種類のがんの患者と健常者を、99%の精度で2時間以内に網羅的に識別できる。
東芝は2019年11月25日、血液中のマイクロRNAを使った、簡便で高精度ながん検出技術を開発したと発表した。東京医科大学、国立がん研究センター研究所との共同研究による成果だ。
近年、がんを検出する新しい診断マーカーとして、マイクロRNAへの期待が高まっている。マイクロRNAは、血液中に安定して存在している約2500種類の核酸分子だ。最近の研究で、血液中のマイクロRNAの種類と量を調べることで、さまざまながんを早期発見できる可能性があることが確認された。
今回の研究では、マイクロRNAを電気化学的に検出する東芝の独自技術と、東京医科大学、国立がん研究センターのマイクロRNAに関する高度な医学的知見を融合した。これにより、13種類のがんの患者と健常者を、99%の精度で2時間以内に網羅的に識別できた。なお、この中には、がんによっては生存率が97%というステージ0の検体も含まれている。
この成果は、13種類のがんのいずれかに罹患しているか否かを、簡便かつ高精度に検出するスクリーニング検査に適応できると考えられる。独自に開発したマイクロRNAチップと専用の小型検査装置を用いれば、検査時間が2時間以内に短縮し、即日検査が可能となる。
東芝は、同技術を早期に社会実装できるよう、2020年から実証試験を進める。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
関連記事
- 尿検査で大腸がんを高精度に検出可能に、カギはポリアミンの濃度
慶應義塾大学は、尿のメタボローム解析とAIを使って、従来よりも高精度に大腸がんを検出する方法を開発した。今後は、大規模な症例データでの精度検証の実施など、実用化に向けた研究開発を進めていく。 - 尿中代謝物で、健常者、乳がん患者および大腸がん患者の尿検体を識別
日立製作所は、住友商事グループと共同で、尿中の代謝物を網羅的に解析することにより、健常者、乳がん患者および大腸がん患者の尿検体を識別する基礎技術の開発に成功した。 - がんの早期発見・早期治療社会を目指した協創を開始、アフラックと日立製作所
アフラックと日立製作所は、がんの早期発見・早期治療社会の構築に向けた協創を開始する。がんに関するアフラックのデータや知見と、尿中代謝物によってがん患者を識別する日立の技術などを組み合わせ、がんの識別技術向上や活用方法などを検討する。 - AIを用いた超音波検査における影の自動検出法を開発
理化学研究所は、深層学習によるラベルなしデータでの学習によって、超音波検査にAI技術を適用する際に課題となっている影を効率的に自動検出する新手法を開発した。 - がん手術の傷の炎症を抑える、内視鏡で噴霧可能な創傷被膜材を開発
物質・材料研究機構と鹿児島大学は、消化管がん治療後の傷に内視鏡で噴霧できる創傷被膜材を開発した。市販被膜材の約10倍の接着力を有し、組織の修復とともに体内で分解するため、手術後の狭窄(きょうさく)などを予防する医療材としての応用が期待される。 - 次世代抗膵がん剤を創成するための特殊ペプチドを開発
新潟大学は、膵がんへの薬物送達システムの輸送体となる特殊ペプチドを開発した。同ペプチドを応用した薬物送達システムを確立し、既存の実用抗がん剤と組み合わせることで、患者の体に優しく、かつ制がん効果を得られる抗膵がん剤が創成できる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.