次世代抗膵がん剤を創成するための特殊ペプチドを開発:医療技術ニュース
新潟大学は、膵がんへの薬物送達システムの輸送体となる特殊ペプチドを開発した。同ペプチドを応用した薬物送達システムを確立し、既存の実用抗がん剤と組み合わせることで、患者の体に優しく、かつ制がん効果を得られる抗膵がん剤が創成できる。
新潟大学は2019年4月25日、膵がんへの薬物送達システムの輸送体となる、がん吸収性ペプチドを独自の手法で開発したと発表した。この研究成果は、同大学大学院医歯学総合研究科 教授の近藤英作氏らによるものだ。
ペプチドは、短いアミノ酸で構成され、最近では健康食品としても用いられる「からだにやさしい」材料だ。がんを征圧するためにさまざまな抗体医薬が開発されているが、抗体の代わりにペプチドを応用するPDC(peptide-drug conjugate)は次世代の革新的ながん治療法になり得る。
今回の研究では、独自の腫瘍ホーミングペプチドの開発技術を基に、難治の膵がん(浸潤性膵管がん)の細胞・組織に対して、高吸収性能を発揮する新規ペプチド「膵がんホーミングペプチド」を開発した。膵がんホーミングペプチドは、標的とするがん組織に網羅的かつ高効率に吸収される輸送体であり、抗がん剤を選択的にがん組織に集積できる上、生体安全性が高い。
同ペプチドを応用した薬物送達システムを確立し、既存の実用抗がん剤と組み合わせることにより、十分な制がん効果を得られ、かつ患者の体に優しい抗膵がん剤となるPDCが創成できる。
今後、同大学は、膵がんホーミングペプチドに関する特許の独占的ライセンス契約および共同研究契約をエーザイ・インク(エーザイの米国子会社)と締結し、同社研究所EPAT(Epochal Precision Anti-Cancer Therapeutics)と共同で、同ペプチドを応用したPDCの創成を目指す。
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