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加熱時間を約20%短縮する赤外線ヒータ式金型加熱器を開発、鋳造工場向け:FAニュース
中部電力とメトロ電気工業は、共同開発した赤外線ヒータ式金型加熱器「HIGH POWER金型加熱器TOUGH」の受注を開始した。多くの赤外線を下金型に照射できるため、加熱時間を約20%短縮。フレーム材料の変更により、耐熱性も向上している。
中部電力とメトロ電気工業は2019年10月24日、共同開発した赤外線ヒータ式金型加熱器「HIGH POWER金型加熱器TOUGH」の受注を開始した。参考価格は、加熱範囲300×400mmの製品が約150万円となっている。
HIGH POWER金型加熱器TOUGHは、赤外線ヒータの上部に赤外線反射塗料を塗布している。これにより、多くの赤外線を効率的に下金型に照射でき、加熱時間を従来比で約20%短縮する。
また、フレームの材料を、耐酸化性に優れ約1000℃に耐える耐熱ステンレス鋼(SUS310S)に変更。赤外線ヒータからの熱によるフレームの酸化や変形を防ぐ。ヒータの定格消費電力は18kW(3kW×6本)。本体のサイズは610×275×125mmで、質量は約11kgだ。
今後、鋳造工場を中心に同加熱器を販売し、金型の加熱行程における課題解決を支援する。
鋳造工程では、鋳造前に上下の金型を一度熱して高温にする。特に下金型は、通過する溶解金属が途中で冷え固まらないよう、上金型よりも高温にしておく必要があるが、金型加熱器からの熱が上金型の方に滞留するため、下金型の温度上昇が遅かった。また、耐熱温度約700℃のステンレス鋼を用いた従来のフレームは、金型を400〜500℃で長時間加熱するような場合、赤外線ヒータからの熱で酸化、変形しやすいという課題があった。
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