API公開でも「aiboの自我を守った」ソニー、心理状態で振る舞いが変わる実装に:ロボット開発ニュース
ソニーは2019年11月11日、自律型エンターテインメントロボット「aibo(ERS-1000)」の動きなどをプログラミングできるソフトウェアAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を一般公開した。
ソニーは2019年11月11日、自律型エンターテインメントロボット「aibo(ERS-1000)」の動きなどをプログラミングできるソフトウェアAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を一般公開した。同APIの公開を通じて、さまざまな企業や団体とaiboを活用した協業の可能性を探る構えだ。
同APIはaiboのライセンスプログラムである「aiboデベロッパープログラム」を通じ、aiboを所有するユーザーに限定して提供する。Web API(REST)の形式で実装されており、開発者はAPIを呼び出すことでaiboの動きの制御や認知状況を取得できる。同APIは現時点で無償提供となるが、開発したアプリケーションのデプロイは自己所有のaiboに限られる。APIの実行には、aiboデベロッパープログラム利用規約に同意した後に発行されるトークンとaibo固有の「deviceid」などが必要となる。
提供されるAPIは、「吠える」や「お手をする」などaiboの動きを指定する「Action API」、名前を呼ばれたことなどaiboの認知状況を得る「Cognition API」、アクセスできるaiboの一覧表示や指示待ちモードへの移行などを行う「Setting API」など、30超の機能にわたる。
APIのHTTPリクエストをアプリケーションから実行すると、aiboを管理するソニーのサーバからaiboにAPI実行指示が送信される。aiboが所定の処理を完了すると、サーバにID(executionId)が付与された実行結果を通知。実行結果もAPIから取得することができる。
$ curl -X POST https://public.api.aibo.com/v1/devices/${deviceId}/capabilities/kick_object/execute \ -H "Authorization:Bearer ${accessToken}" \ -d '{"arguments":{"TargetType":"pinkball","KickMotion":"sideKick"}}'
プログラミング教育への展開もにらみ、コーディングなしでオリジナルなaiboの動きが定義できる「aiboビジュアルプログラミング」の提供も開始した。aiboビジュアルプログラミングは、個々の処理が定義されたブロックをドラッグ&ドロップで組み合わせ直観的にaiboの動きをプログラムできるWebアプリケーション。こちらも現時点では無償で提供される。同ツールで開発したプロジェクトはファイルに保存し、他のaiboにシェアすることも可能だ。
同ツールのバックエンドではソフトウェアAPIが動作しており、サードパーティーベンダーも用途に応じたビジュアルプログラミングをリリースすることができるという。
また、API呼び出しによるaiboの振る舞いを、そのときどきのaiboの心理状態で異なるようにした。aiboらしさを残しつつプログラミングを楽しくするとともに、「aiboの自尊心、自我を守る」(ソニー AIロボティクスビジネスグループ SR事業部 ソフトウェア2課 統括課長 森田拓磨氏)ためだという。
今後、APIの拡張として「aiboソフトウェアAPIを活用する開発者がaiboオーナー向けに連携アプリケーションを提供できるようにする仕組みや、任意の音声認識ワードを設定する仕組み」(ソニー AIロボティクスビジネスグループ クラウドビジネス開発部 統括部長 平朋大氏)などを企画している。
ソニーはaiboのさまざまな活用を提案する方針で、「企業や団体、教育機関、個人を含むさまざまな方が提供するサービスや商品との連携を進める」(平氏)。現在、数社と協業について交渉を行っているという。
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