AIやAR、VRを民生機器用デバイスへ搭載できる最新プロセッサIPを発表:組み込み開発ニュース
Armは、AIやAR、VR搭載のモバイルデバイスやコンシューマー機器向けに、ML向けプロセッサ「Arm Ethos-N57」「Arm Ethos-N37」、Maliグラフィックスプロセッサ「Arm Mali-G57」、Maliディスプレイプロセッサ「Arm Mali-D37」を発表した。
Armは2019年10月23日、AI(人工知能)やAR(拡張現実)、VR(仮想現実)搭載のモバイルデバイスやコンシューマー機器向けに、ML(機械学習)向けプロセッサ「Arm Ethos-N57」「Arm Ethos-N37」、Maliグラフィックスプロセッサ「Arm Mali-G57」、Maliディスプレイプロセッサ「Arm Mali-D37」を発表した。
一般消費者向けのモバイル機器やデジタルTVに対して、面積効率、電力効率、高性能のAI処理やAR、VRコンテンツの実装が低価格、短期間でできるようになり、ユーザーに没入感あふれるインテリジェントな体験を提供できる。
Ethos-N57、N37は、ML専用プロセッサ「Ethos NPU」ファミリーの最新IPで、コストとバッテリー寿命を重視しつつ、ML性能との間でバランスを取った設計を施している。Int8、Int16データ型のサポート向けに最適化したほか、低消費電力のデータ管理技術、畳み込みニューラルネットワークを高速化するWinogradの実装などにより、従来のNPU(機械学習用プロセッサ)に比べて200%以上性能を向上した。
さらには、ML性能と電力効率のバランスをとり、処理性能は最大2TOP/s。Ethos-N37は、実装面積1mm2未満で、処理性能は最大1TOP/sだ。
Mali-G57は、Valhallアーキテクチャを採用し、4K、8Kテレビ、AR、VRデバイス、高解像ゲームコンテンツなど、高い没入感を求める製品に向けたGPUだ。グラフィックス性能は従来に比べて、面積比、電力比ともに1.3倍向上している。ML用演算性能を60%向上し、複雑なワークロードにも対応する。
Mali-D37は、16nmプロセスでの実装面積を1mm2未満に抑えつつ、FHD、2Kディスプレイに対応するなど、面積効率が高いDPUだ。GPUでディスプレイ用タスクを実行した場合と比べて、システム全体の消費電力を最大30%削減できる。「Assertive Display 5」との組み合わせによるHDR、SDRの合成機能など、上位製品の機能も引き継ぐ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「機械学習を全てのデバイスに」、Armが進めるプロセッサの性能向上
Armは2019年4月4日、東京都内で記者説明会を開き、クライアントコンピューティング向けに展開する推論エンジンのプラットフォーム「Arm NN」や、CPU、GPUや機械学習用プロセッサ「NPU」の動向について紹介した。 - 人の目のように明暗を認識し、高画質を提供する画像処理プロセッサ
Armは、人の網膜のようにコントラストに順応できるIridix技術を採用したイメージシグナルプロセッサ(ISP)「Arm Mali-C52」「Arm Mali-C32」を発表した。ドローンやスマートホームアシスタント、防犯カメラなどのリアルタイム画質を向上する。 - ポスト「京」のプロセッサ「A64FX」はArmベースながら異彩放つ重厚系
「Arm TechCon 2018」では、Armのアーキテクチャライセンスを基に開発が進められている、次世代スーパーコンピュータのポスト「京」(Post-K)向けのプロセッサ「A64FX」に関する講演が行われた。 - Armは自動運転向けプロセッサの覇権を握れるか、本命は5nmプロセス
2018年後半に入って急激に動きを活発化させているArm。本連載では同社の最新動向について報告する。第3回のテーマは、「Arm TechCon 2018」でも地味ながらかなり力を入れていた自動車関連の取り組みを紹介する。 - Armのサーバ向け戦略十年の計は実を結ぶか、新プロセッサ「Neoverse」
2018年後半に入って急激に動きを活発化させているArm。本連載では同社の最新動向について報告する。第2回のテーマはサーバ/クラウド向けの新たなブランド名として発表された「Neoverse」だ。 - 加速するArmのプロセッサロードマップ、ソフトバンクによる買収が契機に
2018年後半に入って急激に動きを活発化させているArm。本連載では同社の最新動向について報告する。第1回のテーマはプロセッサロードマップだ。