東芝の工場IoTは13社で実稼働レベルへ、デンソーでも4社競合を勝ち抜く:製造業IoT(2/2 ページ)
東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は、プライベートイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2019」の開催に先駆け記者会見を開催。同社 社長の錦織弘信氏は「IoTやAIに加えて、さまざまなドメインで展開する東芝グループの事業を足掛かりに、2030年を目標とする世界有数のCPSテクノロジー企業への道筋を切り開く」と意気込んだ。
三井物産との海外協業で立て続けに実績、「国内展開につなげる」
また、TDSLが推進するIoTやAI、CPSの関わる共創事例も積み上がりつつある。スマート工場など向けのモノづくりIoTソリューション「Meisterシリーズ」については、自動車、産業機械、電子部品の大手製造業10社と東芝グループ3社の合計13社で採用されている。「これらは実稼働しているという意味での採用社数であり、PoC(概念実証)であればもっと多くの事例がある」(錦織氏)。10社のうちの1社として挙げたデンソーの場合は4社競合となったが「デジタルツインを構築してデータを活用するという意味でMeisterシリーズは抜きんでている、という極めて高い評価をいただけた」(同氏)という。
また、数年前から海外展開で協業を進めてきた三井物産との事例も、2019年8月の英国の鉄道事業者グレーター・アングリア(Greater Anglia)、同年9月の自動車プレス部品大手ゲスタンプ(Gestamp)、同年10月のメキシコ火力発電事業者ファルコングループ(Falcon Group)など、立て続けに実績が出始めている。
錦織氏は「インフラ系については、数年前に国内で取り組みを始めたが顧客からなかなかデータを出してもらえないこともあり、成果につながらなかった。一方、海外展開に強く投資も行っている三井物産との協業では、顧客からデータを出してもらえたこともあり、しっかりとした成果が得られ、採用にもつながった。事例を重視する国内顧客向けに展開する上でも良い検討材料になるだろうし、今度こそしっかりデータを出していただけるのではないか」と述べている。
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