東芝の工場IoTは13社で実稼働レベルへ、デンソーでも4社競合を勝ち抜く:製造業IoT(1/2 ページ)
東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は、プライベートイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2019」の開催に先駆け記者会見を開催。同社 社長の錦織弘信氏は「IoTやAIに加えて、さまざまなドメインで展開する東芝グループの事業を足掛かりに、2030年を目標とする世界有数のCPSテクノロジー企業への道筋を切り開く」と意気込んだ。
東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は2019年11月6日、東京都内で開催するプライベートイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2019」(同年11月7〜8日)に先駆け記者会見を開催。同社 社長で東芝 執行役員専務の錦織弘信氏は「デジタル時代の新たな競争は第2幕に入りつつあり、産業データの活用がより重要になっていく。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)に加えて、さまざまなドメインで展開する東芝グループの事業を足掛かりに、2030年を目標とする世界有数のCPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジー企業への道筋を切り開く」と意気込んだ。
錦織氏は、米国のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)や中国のBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)が得意とする、人の日常の行為を基にしたコンシューマーデータの活用をデジタル時代の第1幕とした上で「それまでよりはるかに大規模なデータとなる産業データを活用するデジタル時代の第2幕が始まる」と語る。実際に、現実世界から生成されるデータ量は2015年の15ZB(ゼタバイト、1ZB=10億TB)だったが、2020年には50ZB、2025年には175ZBに達する。この175ZBのうち約100ZBは産業データになる見通しだ。
CPSは、現実世界(フィジカル)から収集したデータをデジタル(サイバー)によって理解・分析し、再度現実世界にフィードバックすることで付加価値を創出する仕組みである。東芝は2018年に発表した「東芝Nextプラン」で、2023年までに収益力、成長力の向上を図り、2028年までにサイバーとフィジカルの両技術の融合で社会のさらなる発展に貢献し、2030年には世界有数のCPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジー企業となる方針を示している。
このCPSの実現に向けて東芝グループの強みとするのが、現実世界側で実業を展開するとともに顧客基盤となる各種事業ドメインだ。これらの事業ドメインは、今後大規模化する産業データを収集していく上でも重要な役割を果たす。そして、これらの事業ドメインにTDSLが有するICTのノウハウを組み合わせることで、より有力なCPSを構築できる。「事業ドメインとICT、これら2つを持つ企業はそれほど多くない」(錦織氏)。
また、AIについても、画像と音声の両方で有力な技術を有しており、モノに関わるAI「SATLYS」と人に関わるAI「RECAIUS」として展開している。錦織氏は「画像と音声、の両方で有力な技術を持つ企業もあまりない。これらのAIを生かしたCPSを作り上げていく」と強調する。
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