サイズの異なるゼオライトナノ粒子の製造技術を確立:医療機器ニュース
東京大学は、ゼオライトの粒径制御手法を使い分け、2種類の異なるサイズのゼオライト粒子を製造する技術を確立した。「粉砕・再結晶化法」「粒成長法」という2つの製造技術により、小径・大径サイズのゼオライト粒子の製造を可能にした。
東京大学は2019年10月18日、ゼオライトの粒径制御手法を使い分けることで、2種類の異なるサイズのゼオライト粒子を製造する技術を確立したと発表した。同大学の研究成果を基に、中村超硬に委託して企業化開発した。
今回の研究では、「粉砕・再結晶化法」「粒成長法」という2つのゼオライトナノ粒子の製造技術を開発。これらを使い分け、小径・大径サイズのゼオライト粒子の製造を可能にした。
100nm以下の小径ゼオライト粒子は、粉砕・再結晶化法で製造する。粉砕に用いるビーズミルのビーズ径と処理時間を調整し、粗粒の発生を抑えた。また、粉砕によって失われた結晶性を回復させる再結晶化処理技術も開発。水酸化ナトリウム溶液中で撹拌(かくはん)することで90%以上の結晶構造が回復し、マイクロサイズゼオライトと同等以上の機能を持たせることに成功した。
150〜300nmのサブミクロンサイズの大径粒子は、粒成長法により製造する。合成液の組成条件により、粒成長しやすいA型ゼオライトの粒成長がサブミクロン領域で抑制することに成功。エージング条件や温調方法の検討により、サブミクロンサイズでの粒径制御を可能にした。異相が生成しやすいゼオライトに対しては、温度調整で単一層が得られる合成条件を確立した。
ゼオライト粒子は、一般的に水熱合成法により合成されるが、高コスト、粒径制御の不安定さ、量産化が困難といった課題があった。新技術により、サイズの異なるゼオライトナノ粒子が従来の約10分の1のコストで製造可能になる。現在、梱包材や化粧品、衛生用品などの分野でユーザー評価を進めており、今後製品化が期待される。
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