超広角眼底3次元撮影を可能にする波長掃引式光干渉断層計を発売:医療機器ニュース
キヤノンが、スキャン幅約23mm、深さ約5.3mmの超広角OCT画像を撮影できるSS-OCTの新製品「OCT-S1」を発表した。硝子体から網膜、脈絡膜、強膜境界部までの広範囲を一度の撮影で高精細に画像化できる。
キヤノンが2019年10月24日、スキャン幅約23mm、深さ約5.3mmの超広角OCT画像を撮影できるSS-OCT(Swept-Source Optical Coherence Tomography、波長掃引式光干渉断層計)の新製品「OCT-S1」を発表した。価格は3500万円(税別)だ。
SS-OCTは、光の出力波長を連続的に切り替えられるレーザー光源を使用した光干渉断層計だ。レーザー光源に波長掃引式光源を採用。これまでは捉えるのが難しかった広範囲かつ深部に至るまでの眼底3次元画像を一度の撮影で取得でき、硝子体から網膜、脈絡膜、強膜境界部までの広範囲を一度の撮影で高精細に画像化できる。
OCTA(眼底3次元画像から血管形態を描出する画像処理技術)画像や網膜の正面投影像であるEnFace画像(3次元断層データから網膜に対して水平面を再構成した画像)、網膜の厚みの分布を色で表示するMAP表示も、約80度で観察可能。パノラマ合成機能使用時は、約110度のOCTAとEnFace画像を取得できる。
また、深層学習技術を用いた画像処理技術「Intelligent denoise」を搭載。1回スキャンするだけで、OCTA画像からノイズを選択的に除去し、血管の細部まで可視化された高精細画像を取得。短時間で高精細なOCTA画像を生成できる。
さらに、フォーカスの自動調整やオートトラッキング、操作性を考慮したジョイスティックを採用。開瞼補助が必要な場合などに、スムーズに被検者へ手が届く本体デザインと合わせて、被検者の状態や撮影条件に応じた柔軟な操作ができる。
1枚の画像で眼底の周辺および深部を明瞭かつ多面的に把握できるため、眼疾患等の早期発見や経過観察に貢献が期待され、大学病院や専門性の高い眼科医療施設での研究や診断に利用が見込まれる。
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