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データムを必要とする幾何公差【その2】〜姿勢公差の直角度〜産機設計者が解説「公差計算・公差解析」(9)(4/4 ページ)

機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第9回はデータムを必要とする幾何公差をテーマに、姿勢公差の直角度について取り上げる。

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測定方法

 最後に、測定方法を紹介します。

 正確に測定するのであれば、3次元測定器を使用します。他にはスコヤ(直角定規:Square)と、隙間ゲージ(Feeler Gauge)を使用して測定します。スコヤですが、その規格が「JIS B 7526:1995 直角定規 Squares」に定められています。また、隙間ゲージも「JIS B 7524:2008 すきまゲージ Feeler gauges」で規定されていますので、興味のある方は調べてみてください。

図10 直角度の測定方法
図10 直角度の測定方法。定盤上に設置したワークとスコヤの間の隙間に、隙間ゲージを挿入します。数種類の隙間ゲージのうち、最も“しっくり”と入るものが直角度を示す

 さらに正確な測定方法として、オートコリメーター(Autocollimator)を使用する方法があります。筆者は使用経験がありませんが、非接触で角度を測定する光学式測定器です。直角度の他に、真直度や平面度などの測定が可能です。



 3D CADの普及とともに、部品サプライヤーは標準部品や準標準部品の図面情報を紙のカタログではなく、Web上で取り扱うようになり、3D CADと連携して形状をインポートしたり、型式の自動設定や3D CADデータへの属性設定(型式、材料名、メーカー名など)を行ったりということが、簡単にできるようになりました。

 その際、設計者が参考とするWeb上の外形図には、幾何公差の普通公差値が記されているわけですが、これを見た設計者は果たして、部品機能をきちんと説明できるのでしょうか? あるいは3D CADの属性値として利用できるのでしょうか?

 これらは非常に重要な投げ掛けであると同時に、部品サプライヤーが取り扱う2D/3D図面の情報に対して、議論やその充実を要望していく必要性もあるのかもしれません。とにかく、しっかりと肝に銘じておきたいのは、

  • 幾何公差は入っていればいいというものではない
  • 図面は会社の顔

ということです。また次回お会いしましょう! (次回に続く)

Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダー・事務局も務める。


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データム | 幾何公差 | 製図


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