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データムを必要とする幾何公差【その2】〜姿勢公差の直角度〜産機設計者が解説「公差計算・公差解析」(9)(3/4 ページ)

機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第9回はデータムを必要とする幾何公差をテーマに、姿勢公差の直角度について取り上げる。

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1−2−3.平面形体のデータム平面に対する直角度

・公差域の定義(JIS原文、以下同様) 
 データム平面(PD)に垂直な幾何学的平行2平面でその平面形体(P)を挟んだとき、平行2平面の間隔が最小となる場合の、2平面の間隔(f)で表す。

図8 平面形体のデータム平面に対する直角度
図8 平面形体のデータム平面に対する直角度。この直角度が表された図面はよく見るものでもあり、筆者もよく使用する
図9 平面形体のデータム平面に対する直角度の例
図9 平面形体のデータム平面に対する直角度の例。青色の平面形体は緑色のデータム平面形体に対して、直交する幾何学的平行2平面の距離0.1[mm]の領域に入っている必要があることを表している

 この直角度公差は、頻繁に使用されます。このような公差は、個々に公差の指示を行わない場合も管理され、その適用はJISで定めるところであり、企業独自の公差値として管理されています。JISでは「JIS B 0419:1991 普通公差− 第2部:個々に公差の指示がない形体に対する幾何公差」として、その公差値が記載されています。

表1 JIS B0419−1991を参考に筆者作成
表1 JIS B0419−1991を参考に筆者作成

 公差等級は、H:精級K:中級L:粗級を表しています。この等級を見て、一体何を使用すればいいのか? という疑問を持たれる方もいるかもしれません。これはあくまでも経験上の話ですが、筆者が所属する装置産業界における部品加工では、一般的な構造物を構成する部品として、中級を使用することがほとんどです。

 もちろん、部品の用途によっては精級を使用することもありますが、当然、加工コストも上がることになります。ただし、機能部品については、設計者が機能上必要な幾何公差値を設定します。また、企業の標準幾何公差として、何を使用するか定めていることが一般的でもあります。

 この直角度の普通公差についてJISは、

直角を形成する2辺のうち長い方の辺をデータムとする。2つの辺が等しい呼び長さの場合には、いずれの辺をデータムとしてもよい

と規定しています。「直角度の普通公差のデータムとは何か」を再認識してみましょう。

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