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データムを必要とする幾何公差【その2】〜姿勢公差の直角度〜:産機設計者が解説「公差計算・公差解析」(9)(2/4 ページ)
機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第9回はデータムを必要とする幾何公差をテーマに、姿勢公差の直角度について取り上げる。
1−2−2.直線形体のデータム平面に対する直角度
(1)一方向の直角度
・公差域の定義(JIS原文、以下同様)
その方向とデータム平面(PD)に垂直な幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだときの、2平面の間隔(f)で表す。
(2)互いに直角な2方向の直角度
・公差域の定義(JIS原文、以下同様)
その2方向とデータム平面(PD)にそれぞれ垂直な2組の幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだときの、2平面の間隔(f1、f2)(すなわち、2組の平行2平面で区切られる直方体の2辺の長さ)で表す。
(3)方向を定めない場合の直角度
・公差域の定義(JIS原文、以下同様)
データム平面(PD)に垂直でその直線形体(L)を全て含む幾何学的円筒のうち、最も小さい径の円筒の直径(f)で表す。
例えば、データムを部品の面として、その面に直交するように穴をあけるとき、その穴の中心軸に直角度を設定し、かつその方向を定めないものは次の図のようになります(図7)。
この幾何公差値には「Φ」が記入されています。これは“直角度の方向を定めないこと”を意味します。「公差域の方向性を定めるのか、定めないのか」について、設計者はその機能から判断する必要があります。
公差設計、公差解析では、確率統計的に満足される過剰な公差値(サイズ公差/幾何公差)を設定しないことを目的にしていますが、「過剰な公差域を設定しない」ことも必要になります。
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