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3次元の設計環境とうまく付き合うには【人材育成編】“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法(6)(2/2 ページ)

脱2次元”できない現場を対象に、どのようなシーンで3D CADが活用できるのか、3次元設計環境をうまく活用することでどのような現場革新が図れるのか、そのメリットや効果を解説し、3次元の設計環境とうまく付き合っていくためのヒントを提示します。今回は、3次元の設計環境を活用できる人材の育成について取り上げます。

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内部教育と外部教育

 将来を見据え、教育体制を社内に整備することも重要です。ここで「内部教育」と「外部教育」のメリット/デメリットを紹介します。なお、ここでいう内部教育とは自社の社員が講師となり教育を行うことで、外部教育とは外部のメーカーや商社が講師となり教育を行うことです。

内部教育

メリット 
・自社に必要なスキルをピンポイントで学ぶことができる
・自社のノウハウを蓄積していくことができる
・外部費用が発生しない

デメリット 
・内部講師の業務負担がある
・内部講師の育成に時間と費用がかかる
・内部講師と受講者が実務から離れることになる

外部教育

メリット 
・一般的な知識を広く学ぶことができる
・教えるプロから学ぶことができる
・外部から新しい情報を入手できる

デメリット 
・受講費用がかかる
・開催日時の自由度が少ない
・自社ノウハウの蓄積がしづらい

 内部教育と外部教育については、取り組むべきかどうか、会社規模によって変わってくると思います。大企業で3D CADを活用できる人材をこれから多く育てていくという場合は、自社で講師を育て内部教育を進めていった方が費用が抑えられ、多くの社員に展開できます。一方、小規模の企業であれば、基礎教育は外部教育で、実務教育は社内でOJTという方法もあります。いずれにせよ、各企業に合った進め方を検討する必要があります。

人材育成と人事評価

 人材を育成していくに当たり、忘れてはならないのが、目標設定と進捗管理、そして、きちんとした人事評価です。

 スキルマップを作成して評価したり、資格取得を評価対象にしたりするなど、社員の自発性を引き出す環境づくりも大切になります。

 3D CADに関する資格については「3次元CAD利用技術者試験」や「3次元設計能力検定試験」、その他、各ソフトメーカーで資格制度があるものもあります。社内で資格試験を作成し、評価するのもよいでしょう。また、社内勉強会を開催したり、外部セミナーに参加したりしてコミュニティーを形成することも、継続的な活動をしていく上で重要です。

人材の成長が企業の成長

画像はイメージです
画像はイメージです(iStock.com/BartekSzewczyk)

 企業にとって、社員に教育を受けさせるということは、費用や時間がかかるだけではなく、その間、受講者が通常業務を離れることにもなり、他の社員への負担も増えることになります。こう考えると、教育に対してちゅうちょしてしまいそうですが、将来的に人材の成長が企業の成長につながりますので、未来への投資だと考えて取り組んでいきましょう。

 人材育成は、経営戦略を具現化するために必要なものであり、将来求められるスキルを身に付け、それを自社ノウハウとして蓄積していくためにも、継続的に取り組んでいかなければなりません。

 そのためには、きちんとした教育が必要です。せっかく3D CAD環境を整備しても、使い方が習得できず、結局、2次元の設計環境に戻ってしまった……という話もよく耳にします。費用はかかりますが、外部の教育をうまく活用して、3D CAD導入、3次元推進に役立てることが最善の道ではないでしょうか。(次回に続く)

筆者プロフィール

小原照記(おばら てるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。


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