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2次元から脱せないママさん設計者が3次元に目覚めた理由とは ママさん設計者は元2次元信者【前編】(1/2 ページ)

かつて2次元信者だったママさん設計者は、一体何がきっかけで3Dに覚醒したのか? 3D CAD導入による環境の変化と得られたメリットを交えてお話しながら、「3D化推進」の在り方について一緒に考えてみましょう。今回は、前編です。

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紙図面こそ正義、だと!?

 皆さん、こんにちは! Material工房・テクノフレキスの藤崎です。

 私は今でこそ3Dツール推進派でありますが、かつては真逆で「図面が読み書きできて一人前! 紙図面こそ正義! 2D CADこそメカ設計の王道! 3D化なんて甘えです!」――そんなふうに思っていた時期がありました。しかもこれは古いお話ではなく、2014年の中頃、……ほんの数年前までこの信念を曲げることはありませんでした。

 さまざまな方から、数々の3Dツールについてアプローチを受けても、耳をふさぎ口を挟むことを慎み、ひたすら2D CADでの設計作業に固執しつづけていました。それは「信念」と言えばカッコイイですが、これはもう単純に、新しいものを受け入れることへの抵抗感と慣れた環境を変えたくない思いがかなり強かったのです。もちろん導入費用の不安もありました。そんな単純な理由でしたから、深層心理では決して3D CADを全面否定していたわけではありませんでした。

 むしろ3D CADで作成したデータなら、図面の読解力を求めないので情報の展開手段としては数倍便利そうだし、導入すれば何かが変わるだろうなという予感はありました。でもただそれだけ。3D CADというツールの正体を把握していないので、「何かが変わるだろう」の、その「何か」がちっとも見えない状況だったのです。もしもその段階で「時代の流れに乗っておこうかな」くらいの気持ちで導入していたら、きっと今でも持ち腐れていた可能性は大きいでしょう。

ん? クルマを買う時と同じかしら?

 長らく2次元オタクだった私が、3D CADの導入を決めて今に至るまでの時系列はこうです。


“3D反抗期”から現在まで(筆者セミナー資料より)

 あんなに逃げていた3D CADの導入を決意したきっかけは、これまでの設計環境では対応できない「有機的形状を含む、意匠性の高い構造部品の設計」に直面したことでした。

 それまで設計してきたものは無機的なものばかりでしたから、そのお仕事を請け負った時は「これは2D CADで片付けられるのだろうか」と不安に駆られながら「いや、でもやるしかないわよね」と進めてみたものの、頭の中のイメージを理想的な形でアウトプット出来ない、イライラの連続で参ってしまいました。

 お仕事の納期に気をもみながら「3D CADならきっと楽なんだろうな……」と考えあぐねる日々。何せ、しがない個人事業主が、金額7桁台の設計ソフトを買うのははっきり言って冒険です。でも、もし同じ金額のクルマを買うのであれば費用対効果を見込むのはたやすいことで、「必要か不要か」「必要ならどのメーカーのどの車種のどのグレードが適しているか」などの答えは、自分ですぐ出せます。それは自分自身に車の知識と運転経験に基づいた判断基準が明確にあるからなのですね。

 私はそこに気付き、「使用経験がなく、判断基準がないなら、使ってみるしかないじゃないか」ということで、「手っ取り早く試用できる3D CADはないか」と情報を探りはじめたのでした。

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