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カメラ1つで人の動きを自動検出する「骨紋」、不具合の分析期間を10分の1に減少CEATEC 2019

三菱電機は「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)において、カメラ1台の映像から人の骨格情報を抽出し動作を自動検出する作業分析技術「骨紋」を披露した。

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 三菱電機は「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)において、AI(人工知能)技術を使い、カメラ1台の映像から人の骨格情報を抽出し、動作を自動検出する作業分析技術「骨紋」を披露した。

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カメラ1つで骨格を認識し人の動作を自動検出できる「骨紋」技術のデモ(クリックで拡大)

AIを2回使うことで骨格と作業を簡単に認識

 「骨紋」は三菱電機のAI技術「Maisart」を使い、カメラ映像から人の可動部を抽出して骨格情報を導き出し、特定の動作を自動検出する作業分析ソリューションである。特徴は簡単に人の作業の記録と確認ができるということだ。人の動作分析を精度高く行うには3Dカメラなどの用意や、測定点を設置したモーションキャプチャーなどが必要になり、手間やコストが発生する。今回の「骨紋」は通常のカメラを使い、10回程度動作をするだけで簡単にモーションキャプチャーと同様の精度で動きを捕捉できるようになるという。さらに、その捕捉した動作を設定された作業項目のどれに当たるのかを選別し、人作業の記録を簡単に行うことができるようになる。

 ポイントは「Maisart」によるAIで、映像から抽出した骨格の動きがどういう作業に当たるのかを認識するという点である。これにより「ある人が、こういう作業をしている時に、こういう動きをした」という点がカメラ1つで記録できるようになる。

 利用用途としてはさまざまな領域が考えられるが、三菱電機 情報技術総合研究所長 楠和浩氏は「まずは三菱電機内の工場で実証を進めていることも含め、工場内の人作業の認識の領域で実用化を検討している」と語っている。三菱電機内の実証では不具合発生時の作業分析に従来は30日程度かかっていたが、「骨紋」を使うことですぐにデータを振り返ることができるために3日程度に短縮することができたという。

 楠氏は「工場などで不具合が起こった際にはラインを止めて、どの工程に問題があったのかをさかのぼり、要因分析を行うが、人作業は詳細までの記録が難しいため、分析に時間がかかることが多かった。新技術を使うことですぐに振り返ることができ、問題作業の発見までの時間が短縮させられる。問題解決の方に多くの時間を振り向けることができる」と価値について語っている。

 また、カメラ1つでよいため、作業者に新たな機器設置を要求するなど、負担をかけずに実施できる点も魅力だという。「人作業の認識では作業者に余計な負担をかけるために徐々に使われなくなって定着しないというケースが多い。こういう状況を避けることができる」と楠氏は述べている。

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作業内容と具体的な作業が一元的に管理できるので、不具合要因分析や教育などに活用できる(クリックで拡大)

2020年度に製品化、新たなビジネスモデルも

 「骨紋」は2020年度以降に市場投入する予定。現状では技術的な検証として、あらゆる骨格の人でも認識できるかどうかを三菱電機工場内で実証中だという。また「カメラに向かって前後の動きのように変化の少ない方向の動きが多い場合は認識がうまくいかないケースもあるので、カメラ設置位置含めて検証を進めている」(楠氏)。

 今後は同社のFA製品群などと組み合わせて、製造工程監視装置や作業分析ソフトウェアとしての提供を検討している他「作業を分析するだけでなく製造工程の改善などのコンサルテーションや、分析代行などの新たなビジネスモデルなども含め、さまざまな方向性で検討を進めている」(楠氏)としている。

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