空を飛び地を駆ける、楽天と西友が推進するロボット商品配送サービス:物流のスマート化(2/2 ページ)
楽天と西友は、一般利用者からの注文を受け、神奈川県横須賀市内の「西友リヴィンよこすか店」から港湾緑地「うみかぜ公園」へ、UGV(自動走行ロボット)を活用して商品を配送するサービスを実施している。一般利用者を対象としたUGVによる商用配送サービスは、国内初の取り組みになるという。
「UGVが活躍する場が必ずやってくる」
UGVの本格的な社会実装に向け政府は、2019年度内に官民による協議会の立ち上げや公道上での実証を実現するための基準策定などを予定している。楽天は、早期に一般利用者にUGVの利便性を体感してもらう機会を設け、UGVによる配送の実績を重ねることで、公道を含むさまざまな場所におけるサービスの本格実現を目指す。
楽天と西友は今後も、ドローンおよびUGVを活用した無人配送や共同運営する「楽天西友ネットスーパー」などにおけるイノベーションを通じて、新たな利便性の提供とショッピング環境の向上を図り、より便利で豊かな生活の実現に向けて協力する方針だ。
楽天 常務執行役員の安藤公二氏は、2019年9月19日に行われた同サービスの報道陣向け事前デモンストレーションにおいて、「残念ながら、日本ではまだ(UGVが)公道を走ることができない。われわれがこうしたサービスを実際に行うことによって、どうすれば実現できるかということを、政府や官民協議会などを通じて積極的に議論していきたい。政府にも、実現に向けて前向きに捉えてもらっている。先駆けてサービスを行うことによって、未来を感じてもらい、どういう課題があるかなども政府に提案していく。日本では、さまざまな理由で買い物のために外出することができなかったりする人たちも多い。それらの方々向けの配送サービスとしてUGVが活躍する場が必ずやってくると考えている」と強い意欲を示した。
西友 EC事業本部 バイス・プレジデントの野村佳史氏は「2018年に西友とウォルマート、楽天は戦略的提携を行い、さまざまなサービスを進めているが、最もワクワクするのがドローンとUGVを用いたサービスだ。楽天西友ネットスーパーでも、配送ドライバー不足や再配送の難しさなどの問題にしっかり取り組んでいるが、それらを解決していくために、将来的にこうした取り組みが何らかの形でつながっていくものだと考えている。このシーズンは、うみかぜ公園でバーベキューが盛んに行われており、そのために店舗で買い物をしていただいているが、UGVを用いた新しいサービスも楽しんでいたただければ」と述べている。
なお、今回の取り組みは、猿島へのドローン商品配送サービスと同様に、横須賀市が推進するスマートモビリティ(賢い移動運搬手段)を活用した新規ビジネス創出や社会的課題解決を目指す「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環となる。ドローン配送サービスは2019年7月4日〜9月28日までの木、金、土曜日の週三回実施していた。猿島までの距離は片道約1.5kmで、離陸から約5分で商品を届ける。配送料は500円(税込み)。バーベキューの食材や飲料、救急用品など約400種類を扱っており、人気商品はアイスクリーム、牛丼、ソフトドリンクなどとなっている。
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