超精密金型開発の計算時間を大幅に削減するシミュレーションソフトウェア:CAEニュース
エムエスシーソフトウェアのメタルフォーミングプロセスシミュレーションソフトウェア「Simufact Forming」を、サイベックコーポレーションが導入した。計算速度の向上によって、これまで諦めていた解析が可能になり、納期やコストが縮減した。
シミュレーションソフトウェア採用事例
エムエスシーソフトウェア(MSC)は2019年8月30日、同社のメタルフォーミングプロセスシミュレーションソフトウェア「Simufact Forming」をサイベックコーポレーションが導入したと発表した。超精密金型の開発やプレス工程の設計に活用し、納期短縮、コスト削減などで成果を上げているという。
サイベックは、2018年に試験的にSimufact Formingを導入。同ソフトウェアは使い勝手が良く、CAEの稼働率が上がったこと、また他事業部でMSC製品の導入実績があったことやMSCのサポート対応を評価した結果、正式に導入を決定した。
塑性フローや成形実現性、応力分布、内部ダメージなどのプレス成形解析や成形加工の荷重計算を実行したところ、計算速度がこれまでと比べて2倍、4倍に向上した。解析についても、1週間に2、3ケースほどだったのが10ケース以上の条件検証が可能に。特に金型除去時(スプリングバック)の計算は、以前は成形解析の他に計算を立ち上げて12時間以上かかっていたが、成形解析と同時に数分で解けるようになった。
Simufact Formingの導入によりサイベックでは、計算時間がかかるなどの理由から実行していなかった解析や、多様な条件での解析が可能になった。金型設計に最良の解析結果を反映できるようになったことで、金型の設計精度が向上し、納期短縮に加えてコストも削減できた。
また、Simufact Formingは、実際には見られない金型内での塑性流動を把握できることから、製品機能に大きく関わる欠陥や成形不足をあらかじめ検討できるようになった。
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