LIXILの研究開発戦略は2×4ならぬ「3×4」!? 新規事業化にも踏み込む:研究開発の最前線(2/2 ページ)
LIXILは、研究開発を担うテクノロジー部門の取り組みや、“未来の生活価値”の実現に向けた研究開発戦略「3×4」などについて説明した。
テクノロジー部門もイノベーションを起こし新規事業につなげる
システム技術研究所を前身とするビジネスイノベーション統括部の目標は「イノベーションを起こす」だ。テクノロジー部門傘下ではあるものの、IoT技術やデータを活用した、住宅設備や建材、暮らしに関わるサービスなどの新規事業モデルの創出を目指している。また、システム技術研究所で手掛けていた、住まいへのIoT活用の実証実験の場になっている「U2-Home II」を用いた基盤技術開発も行っている。
LIXIL ビジネスイノベーション統括部 統括部長の三原寛司氏は「ソフトバンクとの間で協業を進めているパブリックトイレのデータ活用といった成果も出つつある。これからの時代は、たとえテクノロジー部門であっても、自らイノベーションを起こし、新規事業につなげていかなければならない。ビジネスイノベーション統括部はそのための部署だ」と強調する。
人間情報科学研究所では、住まいに関する人間の行動や感情のわずかな変化をデータ化・分析し、未来の快適な暮らしを実現する製品・サービスを創るための研究を進めている。
LIXIL Technology Research本部 人間情報科学研究所 研究所長の村井知之氏は、代表的な成果として、半身浴と肩掛け湯を組み合わせた「スパージュ:アクアフィール」を挙げた。「人間の不調の上位に常にある肩こりを改善できるように、科学的視点から価値仮説を発想し、プロトタイプを作って評価し、商品化につなげた」(村井氏)という。
二瓶氏は「未来の暮らしの中で、IoTやAI、ビッグデータなどを活用していくことになるだろう。重要なのは、それらの技術がバックグラウンドにあるとしても、普段の生活を変えることなく使えるようにしなければならない。住まいの中で使う以上、設定などを気にしてストレスが増えるようではいけないだろう」と述べている。
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