仮想GPUを利用したVDI環境の導入により、スパコンの利活用を拡大:CAEニュース
NVIDIAは、東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」に導入する新しいVDIとして、「NVIDIA仮想GPU」が採用されたと発表した。VDI導入により、スパコンからの膨大なデータを、PCなど端末の画面でも利用できるようになる。
NVIDIAは2019年8月22日、東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」に導入する新しいVDI(仮想デスクトップ基盤)に、同社の「NVIDIA仮想GPU」が採用されたと発表した。
導入される新しいVDIシステムは、東工大が研究を進める、文部科学省の卓越大学院プログラム「『物質×情報=複素人材』育成を通じた持続可能社会の創造」用設備の1つとなる。
VDI導入により、仮想化された共有ワークステーションが利用可能になり、東工大のスパコン活用の幅が広がる。例えば、機械学習やシミュレーションなどの膨大なデータをTSUBAME3.0からダウンロードしなくても、仮想ワークステーションで実行した計算結果を画面イメージとしてネットワーク経由で転送し、PCなどの端末だけで利用できるようになる。
東工大のVDI環境は「NVIDIA V100 Tensor Core GPU」を3基搭載したサーバが5台、計15基で構成される。NVIDIAのQuadro仮想データセンターワークステーション(Quadro vDWS)が、NVIDIA仮想GPUソフトウェアでサーバのV100 GPUを仮想化することにより、複数の仮想マシンにGPUの性能が付与され、最大240人のユーザーが同時に仮想ワークステーションの環境を利用できる。
また、CADやCAE、BIMなどのグラフィックスアプリケーション、シミュレーションやディープラーニングなどのコンピューティングアプリケーションは、これまでVDI化が困難だったが、これらがローカルのQuadroワークステーションのような高い性能で動作可能になる。
東工大は、TSUBAME3.0へのVDI環境構築により、同スパコンの利用サービスを学内だけでなく、一般ユーザー向け、産業用途にも拡大する。さらには、遠隔地においても、TSUBAME3.0を利用した計算結果の確認や可視化、高速なデータ処理を提供していく。
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