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グローバル展開できるMaaSはない、「プラットフォーマー狙わずオープン化を」モビリティサービス

PwCコンサルティングは2019年9月3日、東京都内で記者説明会を開き、次世代モビリティやMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)の動向について紹介した。

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PwCコンサルティングの早瀬慶氏

 PwCコンサルティングは2019年9月3日、東京都内で記者説明会を開き、次世代モビリティやMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)の動向について紹介した。

 出席したPwCコンサルティング コンサルティング部門 モビリティチームリーダーの早瀬慶氏は「グローバルもしくは日本全国に共通して展開できる万能型のモビリティサービスは存在しない。簡単にはもうけられないが、生活の流れを押さえた価値提供によって、マネタイズした例もある」と語った。

 早瀬氏は、モビリティとは単なる移動の最適化ではなく、都市計画や社会課題の解決を担うものであり、「モビリティ=クルマ」ではないと強調した。移動の対象は人だけでなくモノも含まれる。“動く部屋”や“走る蓄電池”といった都市機能を実現する上でモビリティがあり、都市設計は自動車中心からヒト中心に移行しているという。

自動車産業が生み出す利益の構造が変わっていく(左)。モビリティサービスの設計は「人やモノを運んだあと」から考える(右)(クリックして拡大) 出典:PwCコンサルティング

 自動車産業が生み出す利益額は、2017年の3770億ドルから2030年に6370億ドルに増加するが、内訳は大きく変わるとしている。2017年は利益のうち41%を新車販売が占めていたが2030年に26%まで低下し、代わりにMaaSの比率が拡大する。MaaSは2030年の利益の30%を占め、1911億ドルを創出する。新車販売は金額ベースでは増加するものの、MaaSが上回る。

 MaaSの筆頭としてライドシェアが挙がることは多いが、ライドシェアを立ち上げたスタートアップはユーザー基盤を基にライドシェアではなく周辺ビジネスを広げていると早瀬氏は説明した。あるスタートアップは、配車サービスで獲得したユーザーの目線に立ち、買い物代行や飲食物の配達、現金での支払いの手間を省くための電子財布や電子決済を展開している。

 モビリティに対する要件は、その地域の課題や目的を明確に設定することが必要となる。「日本型、都市型、東京型は現実的には存在しない。例えば、23区型の中でも六本木型や品川型があり、ローカルなモビリティが連携し合うのではないか。自家用車での通勤が多い八王子型や、バスが充実している練馬区型などが出てくると考えている」(早瀬氏)。また、交通の世界では独占を狙うプラットフォームエコノミーは機能せず、連携やどこでも使えるためのオープン化が重要になるとしている。カギを握るのはモビリティサービスの提供者が全体最適のために顧客データや移動データを流通させる仕組みだ。

 ただ、MaaS市場が伸びるのは、人やモノの移動需要が大きく増えるという事を意味する。2030年の自動車販売台数の予測では、個人所有の乗用車の比率は現状の7割から過半数を割り込むまで下がる。代わりに増加するのは商用車で、トラックやバスの形に限らずモノを届けるための次世代モビリティも含まれている。しかし、人やモノの移動そのものには価値がなく、その先に何をするか、どのように移動で貢献できるかが価値を生むという。


「モビリティ」は真新しい概念ではない(クリックして拡大) 出典:PwCコンサルティング

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