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老化関連分子αクロトーがストレス状態を示すバイオマーカー候補に:医療技術ニュース
大阪大学は、ストレスや睡眠不足が老化関連分子「αクロトー」の血中濃度を変化させることを発見した。この研究成果により、血清αクロトーが、ストレス状態を客観的に示す新しいバイオマーカーとして利用できる可能性が示された。
大阪大学は2019年7月24日、ストレスや睡眠不足が、老化関連分子「αクロトー」の血中濃度を変化させることを発見したと発表した。同大学キャンパスライフ健康支援センター 教授の瀧原圭子氏らの研究グループによる成果だ。
研究グループは、基礎疾患のない非喫煙者を対象とし、身体計測、血液検査、生活習慣調査、さらに精神的ストレスの程度を表す指標となるKessler6(K6)質問票の結果を用いて、血清αクロトー値との関連について解析した。
その結果、「ストレスへの対応ができていない」「睡眠で十分な休養がとれていない」と回答した群で、血清αクロトー値が有意に上昇しており、精神的ストレスや睡眠不足が血清αクロトー値に影響を及ぼしている可能性が示された。
また、精神的ストレスや睡眠との関係を調べたところ、血清αクロトー値はK6スコアと同様の傾向を示した。これにより、血清αクロトーは、ストレス状態を客観的に示す新しいバイオマーカーとして利用できると考えられる。
慢性的なストレスが、さまざまな疾患へのリスク因子となることは知られているが、ストレス状態を測定する方法はほとんどが主観的なもので、客観的に評価するバイオマーカーは確立していなかった。
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