産業用ネットワークに新たな波、「TSN」が最前線へ:産業オープンネット展2019(2/2 ページ)
「産業オープンネット展2019 東京」では、次世代の産業用ネットワーク規格として注目を集めている「TSN」関連の展示が幾つかあった。本稿ではTSN関連の展示の中から、図研エルミック、B&R、マクニカの展示内容を紹介する。
「OPC UA」の適用範囲を広げる「OPC UA over TSN」も
CC-Link IE TSNの他に注目を集めたのが「OPC UA over TSN」だ。産業用ネットワークの上位層で採用が広がっている「OPC UA」※3)について、さらに適用範囲を下層に広げるべくTSNを取り込んだのがOPC UA over TSNになる。
※3)関連記事:「OPC UA」とは何か
スイスABB傘下のB&Rは、このOPC UA over TSNを用いたデモを披露した。2台の産業用PCをOPC UA over TSN対応のスイッチにそれぞれ接続することで同期動作を実行している。なお、産業用PCとサーボモーターなど各種機器との接続には、B&Rが推進するEthernet POWERLINKを用いている。「今後は、よりOPC UA over TSNに重点を置いた製品開発を加速させることになるだろう」(B&Rの説明員)という。
マクニカは、インテルのプログラマブルFPGA「Cyclone V SoC」を用いたOPC UA over TSNの実装例を公開した。
オープンソースソフトウェアとして公開されているOPC UAスタックを活用し、TSNのIPについてはドイツTTTechのものを用いている。Cyclone V SoCのArmコア側にOPC UAスタックを、FPGAロジック部にTSNのIPを実装。OPC UA over TSNで求められる、マスターとなるPublisherと、スレーブとなるSubscriber間のPub/Sub通信が行えている様子を示した。
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