ガンプラ工場が新館を建設、小型AGVや“見える化”システムなども導入:工場ニュース
BANDAI SPIRITSは、アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル(ガンプラ)などを生産する新工場「バンダイホビーセンター新館」を建設すると発表した。現在ガンプラを生産しているバンダイホビーセンター(静岡市葵区)の敷地内で同年12月に着工し、2020年秋以降に稼働を始める予定。
BANDAI SPIRITSは2019年8月2日、アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル(以下、ガンプラ)などを生産する新工場「バンダイホビーセンター新館」を建設すると発表した。現在ガンプラを生産しているバンダイホビーセンター(静岡市葵区)の敷地内で同年12月に着工し、2020年秋以降に稼働を始める予定だ。
バンダイホビーセンター新館(以下、新館)は平屋建てで延べ床面積は1488m2。これに対して、既存のバンダイホビーセンター(新館建設後は「本館」となる)は3階建てで、延べ床面積は8767m2だ。成形建屋となる新館には、新たに多色成形機(4色射出成形機)を6台導入する。新館完成後の多色成形機台数は、電動25台、油圧10台の総計35台となる(グループ会社含む)。生産能力も2019年8月時点と比べて、1.4倍になる予定だ。
なお、この多色成形機は、1つの金型に4つの色、4つの異なる素材を同時に成形できるBANDAI SPIRITSの独自技術だ。単色成形ではランナーが4枚になるところを、多色成形では1枚になるためプラモデルが作りやすく、組み立て後のカラーリング再現の追求や使用電力量の低減、使用材料の省資源化なども可能としている。
新館は、多色成形機に加えて新たな設備も導入する。搬送を効率化する小型AGV(自動搬送機)を2台、不良成形品の混入を防止する成形画像検査機、成形状態をリアルタイムで把握し、生産の効率性を向上に役立つ“見える化”が可能な生産成形管理システムなどだ。
1980年から販売しているガンプラは、2019年4月に累計出荷数5億個を突破するなど、BANDAI SPIRITSの人気商品となっている。2006年度に完工したバンダイホビーセンターの当時のガンプラ年間出荷数は660万個だったが、その後多色成形機を増設するなどして2018年度には2.4倍となる1573万個まで拡大している。
機動戦士ガンダムの放映から40周年を迎える2019年、そしてガンプラ発売40周年となる2020年とも、BANDAI SPIRITSとして新作アニメや他社とのコラボレーションなどを進める予定であり、引き続き国内外でガンプラの需要が高まると予想している。そこで、中国及び北米を中心としたさらなる成長への対応と、中長期的に安定した生産体制に備えるべく、新工場の建設を決定したとしている。
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