Androidか車載Linuxか、「開発負担軽減」の志を忘れずに
アイティメディアに入社したころは、カーナビゲーションシステムにOSがあることや、Linuxの存在も知らなかった筆者ですが、Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」の年に1度の開発者向けイベント「AGLサミット」に通うのが、2019年で4回目となりました。
最初のころはAGLのディストリビューションであるUCB(ユニファイドコードベース)のデモを見ても何がすごいのか全く分からず、事もあろうにLinux FoundationでAGL担当エグゼクティブ ディレクターを務めるDan Cauchy氏本人に「デモの見どころはなんですか」と尋ねるほどの初心者ぶりでした。
初めて見たデモは2016年7月にお披露目されたUCB2.0で、後部座席向けの動画再生やエアコンの操作ができるようになったのが見どころです。Cauchy氏は丁寧に「11カ月前にはUCB1.0さえ存在していなかったという状態から、UCB2.0はCANバスからHVACや車載情報機器を操作できるようにしました。自動車メーカーやサプライヤーが2〜3年の開発期間を要するという工程を、“自動車業界の共同の開発部門”であるAGLは11カ月で終わらせています」と説明してくれました。
そんな取材を経て「何にもないところから、普通のクルマについているような機能をみんなで協力して短期間で作ったって、すごいなあ」という第一印象を持ち、AGLをフォローするようになりました。AGLに限らずインフォテインメントシステムの話題は逃さないように努めていますが、印象的だったのはパイオニアとパナソニックの決算会見です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫過去の編集後記
- 自前主義からオープンソース活用へ、トヨタが車載情報機器の開発方針を転換
The Linux Foundationが開催した自動車アプリケーション向けLinuxのイベント「Automotive Linux Summit」において、トヨタ自動車で次世代車載情報機器の開発トップを務める第1電子開発部主査の村田賢一氏が講演を行った。 - 車載Linuxのオープンソース活動は携帯電話機の轍を踏んではならない
「Automotive Linux Summit 2014」の2日目の基調講演には、パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社のインフォテインメント事業部で技術担当(CTO)を務める水山正重氏が登壇。水山氏が、「オープンソース活動では、議論だけに時間を費やすべきではない。開発成果を実装する必要がある」と語る背景には、携帯電話機の開発を担当していた際の経験があった。