メーター自動読み取りやお腹を冷やさない冷却ベスト、日立が現場作業を支援:工場ニュース
日立グループは、「プラントメンテナンスショー」(2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)に出展し、メーター自動読み取りサービスや作業員の熱中症を防ぐ冷却ベストなどを展示した。
日立グループは、「プラントメンテナンスショー」(2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)に出展し、メーター自動読み取りサービスや作業員の熱中症を防ぐ冷却ベストなどを展示した。
日立システムズが提供するメーター自動読み取りサービスでは、アナログやデジタルといった表示形式、針の個数、メーター形状を問わずメーターの指示値を取得できる。メーター前に設置されたカメラから画像認識でメーターの読み取りを行うため、既存設備に手を加えずにシステム導入が可能だ。市販のIPカメラによる撮影にも対応するため、初期費用を抑えつつ点検業務の工数削減を支援する。同サービスはこれまでに「20〜30件程度の導入事例がある」(同社担当者)とする。
固定カメラ利用型サービスに加え、2019年7月からはスマートフォン利用型サービスも提供を開始した。同サービスは、専用アプリがインストールされたスマートフォンでメーターを撮影することで、メーター種別の判別や指示値読み取り、サーバへのデータ保存などを行う。その他、タイムスタンプの自動付与やコメント追加にも対応し、点検データはCSV形式で出力することも可能だ。
日立パワーソリューションズは熱中症予防を目的とした冷却ベストなどを出展。同製品は水冷式で、ベストの胸部と背部に水路を組み込み、冷却水はリュックサック型の冷却ユニットで熱交換する。腹部には水路が組み込まれておらず、「腹部を冷やしすぎないよう」(同社担当者)配慮した。
熱中症では体温調整機能が崩れ、直腸温度など深部体温が上昇する。作業中の熱中症予防としては電動ファン付き作業服なども知られているが、「気化熱を利用するファン付き作業服よりも、体表を直接冷却できる水冷式ベストの方が高い熱中症予防効果を持つと考える」(同社担当者)。同製品の着用試験では、気温35℃を模した環境に2時間所在した場合でも「直腸温度は33.5℃以下だった」とする。
同製品は、福島第一原子力発電所の廃炉作業を行う作業者の熱中症予防に向けて開発が開始された。作業者は全身を覆う防護服を着用する必要があり、夏季は熱中症発症のリスクが高まっていた。このため、防護服の下に冷却ベストを着用しても作業の邪魔にならないよう配慮して設計されているという。同様に、全身を覆う作業服を用いる塗装工や溶接工の熱中症予防にも向くとしている。冷却ベスト本体とリュックサック型冷却ユニットを合わせ、提供価格は10万円となる。
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