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制御盤の電流データだけでモーター軸受を予兆診断、日立が鉄鋼プラント向けに展開スマートファクトリー(1/2 ページ)

日立製作所は工場やプラントで用いられているさまざまなモーター関連設備における異常発生の自動検知が可能な予兆診断ソリューションを発表。2019年10月から提供を始める。同社のIoTプラットフォーム「Lumada」の次世代メンテナンスソリューションの1つにラインアップされる予定で、まずは圧延工程をはじめとする鉄鋼制御システムに用いられている日立グループ製モーター向けに拡販を進める。

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 日立製作所は2019年7月22日、工場やプラントで用いられているさまざまなモーター関連設備における異常発生の自動検知が可能な予兆診断ソリューションを発表した。既に社内外のユーザーとの実証実験を進めている段階で、同年10月から正式な提供を始める。同社のIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada」の次世代メンテナンスソリューションの1つにラインアップされる予定で、まずは圧延工程をはじめとする鉄鋼制御システムに用いられている日立グループ製モーター向けに拡販を進める。2021年度までに2000〜3000台のモーターへの適用を目指す。

モーター関連設備向け予兆診断ソリューションの概要
モーター関連設備向け予兆診断ソリューションの概要(クリックで拡大) 出典:日立製作所

 工場やプラントの駆動源として用いられているモーターは、固定子やモーターコイル、回転子、軸受などから構成されている。これらの中で、モーターの故障要因の約半分を占めるのが軸受だ。日立製作所が開発した予兆診断ソリューションは、独自開発のアルゴリズムによって軸受の劣化の度合い(異常度)を分析し、その状態を可視化できる。

モーター故障要因の半分を占める軸受を対象にした診断技術となる
モーター故障要因の半分を占める軸受を対象にした診断技術となる(クリックで拡大) 出典:日立製作所

 最大の特徴は、モーターや付帯設備に後からセンサーを設置する必要がなく、制御盤内に搭載されている(もしくは新たに設置する)電流センサーからのセンシングデータを基に診断を行える点だ。工場やプラント内におけるモーターは、熱い、狭い、遠い、暗いなど過酷な環境下に設置されている。このセンサーやカメラの取り付けそのものが大変な作業になる。加えて、設置されているモーターの台数も多い。「1つのサイトでモーターが数千台ということもある」(日立製作所 産業・流通ビジネスユニット ソリューション&サービス事業部 産業製造ソリューション本部 電機ソリューション計画部 主任技師の齊藤拓氏)という。軸受メーカーなどが提供している予兆診断ソリューションは温度センサーや加速度センサーを追加的に設置したりする必要があるが、工場やプラント全体に適用しようとすると膨大な手間とコストがかかってしまう。

日立のモーター関連設備向け予兆診断ソリューションの特徴
日立のモーター関連設備向け予兆診断ソリューションの特徴(クリックで拡大) 出典:日立製作所

 これに対して日立製作所の予兆診断ソリューションは、工場内でも比較的穏やかな環境下にある電気室内の制御盤の電流センサーのデータを活用すればよい点が異なる。センサー取り付け工事が不要なので導入の初期コストを抑えられる。また、制御盤からの電流データを処理する予兆診断アルゴリズムを組み込んだサーバを電気室内などに設置しておけば、ネットワークを介してその診断結果を工場内事務所で確認することで、遠方から安全に点検と診断の作業を行えるようになる。

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