2018年のエンプラ世界販売量は1006万トン:材料技術
矢野経済研究所は、2018年のエンジニアリングプラスチック世界市場の調査結果を発表した。2018年のエンプラ世界市場規模は、前年比103.7%の1006万トンだった。
矢野経済研究所は2019年6月24日、2018年のエンジニアリングプラスチック(エンプラ)世界市場の調査結果を発表した。調査は、同年2〜5月にエンプラ関連企業を対象として実施。樹脂別や参入企業の動向、将来展望について明らかにしている。
同調査によると、2018年のエンプラ世界市場規模(メーカー販売数量ベース)は、前年比103.7%の1006万トンだった。
汎用(はんよう)エンプラの需要は、世界経済の成長率とともに順調に拡大している。2018年の樹脂別構成比を推計したところ、PC(ポリカーボネート)が44.0%、PA(ポリアミド)が28.8%、POM(ポリアセタール)11.9%、PBT(ポリブチレンテレフタレート)11.6%、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)3.7%だった。
さらに、エンプラよりも機能性の高いスーパーエンプラの1つPPS(ポリフェニレンサルファイド)は、自動車業界で進む軽量化や電装化率の上昇を背景に、金属やエンプラの代替として需要が拡大している。PPSの世界市場はここ数年、年率約6〜7%で伸長しており、同社では、2018年には12万トンを超えたと推計している。
PPSの自動車用途を見ると、イグニッションコイル、各種センサー、ECU制御ユニットハウジングなどの電装品や、HEV(ハイブリッド電気自動車)、EVのモーター周辺部品向けに採用が拡大している。近年、冷却系においても、金属の代替として使えるよう、熱や水、LLC(エンジン冷却液)に耐性を持つグレードの開発が進んでいる。
エンプラの世界需要については、2018年後半からの世界経済の減速や、2019年には中国や欧州などで経済活動が停滞していることを受けて、伸長率の減少が懸念される。しかし、自動車向けの採用は増加すると見られ、2018〜2023年まで3.51%の年平均成長率で成長し、2023年のエンプラ世界市場規模(メーカー販売数量ベース)は1196万トンになる見込みだ。
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