コンサルティングファームがエンジニアを求めている:モノづくり業界転職トレンド(10)(2/2 ページ)
今、エンジニア出身者のコンサルタントのニーズが高まっている。新たなキャリアパスとしてのコンサルタントという仕事、エンジニアが求められる背景などを転職コンサルタントに聞いた。
コンサルタントは実は泥臭い仕事
コンサルタントにはどんな人が向いているのか。スキルとして必須なのは、言うまでもなく論理的思考だ。大熊氏は「コンサルティングには、絶対的な正解はない。そのなかで、自分の考えた答えをはっきり伝えられること。それ以上にその答えを導き出したプロセスをきちんと説明できなければならない」と説明する。もう1つ重要なスキルは、コミュニケーション能力だ。
また価値観としては「自分が持っている技術やスキルを、1つの部署や企業だけでなく、製造業全体で活用してほしい、貢献したいという考えの人」(大熊氏)。まさに、これがコンサルタントのスタンスといえる。
見落とされがちだが、手間暇を惜しまず泥臭い仕事ができることも重要。コンサルタントとは、そもそも正解がないなかで、最も適しているのは何かを模索し続けるような仕事。コンサルタントが示す提案の裏では、非常に地道な作業や思考が行われているのだ。当然、打たれ強さ、ストレス耐性も必要となる。
また客先に常駐するハンズオンというスタイルが増えており、出張も多い。従って、家庭を持っている人は家族の理解も必要だろう。
給与について付け加えておくと、高収入のイメージが強いコンサルタントも、転職当初は「それまでと同等。あるいは少し下がることもある」(大熊氏)。ただ上がるときは一気に上がるし、努力と実力次第で伸び幅も大きい。過酷な一面もあるが、やりがいも大きい仕事であることは間違いない。
面接では論理的思考も試される
これまで紹介してきたことから分かるように、コンサルティングファームを目指すには、エンジニアへの転職とは取り組み方が異なるようだ。「それまでの課題解決やプロセス改善をいかに職務経歴書に盛り込むか。それによって書類選考の通過率が全然違う」と大熊氏も言う。
面接では、人柄や仕事に対するスタンス、お客さまへの目の向け方なども見られるし、論理的思考についても試される。「面接で質問されると、どうしても何を期待されているのかを考えて、正しい答えを探してしまうが、自分なりの答えを堂々と言えるか、またその答えに至ったプロセスを説明できるかが重要」と大熊氏。そういった面接を想定した準備をすることができるのは、エージェントならではのアドバンテージだ。コンサルタントの仕事について理解を深めることもでき、自分の新たな可能性を考える機会にもなるだろう。
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