コンサルティングファームがエンジニアを求めている:モノづくり業界転職トレンド(10)(1/2 ページ)
今、エンジニア出身者のコンサルタントのニーズが高まっている。新たなキャリアパスとしてのコンサルタントという仕事、エンジニアが求められる背景などを転職コンサルタントに聞いた。
近年、コンサルティングファームによるエンジニアの中途採用が急増している。例えば大手では、エンジニアを500人規模で募集したり、起業から4〜5年、社員数100人未満のベンチャー系ファームでも50人規模で募集したりしているという。しかし、転職を考えているエンジニアが、コンサルタントという職業をイメージすることは少ないか、あるいはほとんどないだろう。そこで今回は、新たなキャリアパスとして、コンサルタントという仕事、エンジニアが求められる背景などを紹介したい。自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏に聞いた。
製造業の顧客と同じ目線で話ができる
コンサルティングファームへの転職は、エージェントからの情報で可能性を知って応募するか、直接ヘッドハントされることが多い。しかし、そうやってエンジニアからコンサルタントになった人たちの口コミが広がり、コンサルティングファームに興味を持って自発的に挑戦するエンジニアも増加してきている。
なぜ今、コンサルティングファームにエンジニア出身者が必要なのか。この2〜3年、総じてコンサルティングファームは大幅に業績を伸ばしており、特に製造業の顧客が伸びている。製造業各社は、何らかの改革や改善、あるいは次のステップを目指すために、外部のエッセンスや第三者の視点を求めているのだ。また、お客さまに寄り添う、並走して一緒に考えるというコンサルティングスタイルが信頼を得やすくなっていることもあり、ファームはお客さま満足度を重要視する傾向が強くなっている。そのため、製造業の顧客と同じ目線で話ができる人、つまり自ら経験をしてきた製造業出身のエンジニアを欲しがっているのだ。
求める年齢層は各ファームの考え方によるところだが、20歳代後半から30歳代半ばを募集する傾向が強いようだ。若手を中心に採用しているファームは、採用してから育てるという前提で、半年から1年かけて徹底的に研修を受けさせ、試験を行ってからOJTというのが主な流れだ。
一方、社内コンサルタントの経験があるなど、コンサルタントに必要な素養やスキル、経験があれば、年齢は問わないという考えのファームもある。
ニーズが高いのは、開発、生産技術、生産管理
では職種はどうか。特にニーズが高いのは、開発、生産技術、生産管理である。開発エンジニアでは、先行開発や研究開発に携わりつつ、開発プロジェクトのプロセスの改善もしてきた人。技術的には長けていても、プロセスの改善やそのための提案をしていない人は、コンサルタント的な視点が十分ではないとみなされる。
生産技術エンジニアでは、IoTやAIの知識、実務経験を持つエンジニアは非常にニーズが高い。設備の立ち上げ、新工場の立ち上げなどに携わった経験のある人も、設備投資に積極的な企業からの需要があり、コンサルティングファームにとって必要な人材だ。
生産管理では、いわゆるサプライチェーンマネジメント(SCM)の経験が重要視される。特にSCMシステムの導入や運用を先導してきた人はニーズが高い。
自動車業界では、構想段階から考えて細分化していく役割である完成車メーカーの出身者、特に自動運転の開発、電動化の研究開発、コネクテッド領域の研究開発に携わった経験のある人が求められている。
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