東芝製画像認識プロセッサ搭載のトヨタ製車両が予防安全性能評価大賞に:組み込み採用事例
東芝デバイス&ストレージ製の車載向け画像認識プロセッサ「Visconti4」を搭載したトヨタ自動車製の車両が、2018年度JNCAP予防安全性能評価大賞を受賞した。
東芝デバイス&ストレージは2019年6月11日、同社製の車載向け画像認識プロセッサ「Visconti4」を搭載したトヨタ自動車製の車両「アルファード/ヴェルファイア」が、2018年度JNCAP予防安全性能評価大賞を受賞したと発表した。予防安全性能評価で満点を獲得しての受賞だ。同車両の他、同評価試験で高得点を獲得した「クラウン」「カローラスポーツ」の上位3車種には、全てVisconti4が搭載されている。
Visconti4は、同車両のデンソー製前方監視カメラシステムに搭載されている。Visconti4の画像認識用アクセラレータには、従来の画像特徴量である輝度勾配方向共起ヒストグラムに加え、色情報に関する色勾配方向共起、エッジ直交方向色差分共起、直線方向色差分共起、2次カラーヒストグラムといった4種類の特徴量の処理を追加している。こうした複合特徴量による画像認識で、背景と対象物の輝度差が少ない夜間などの画像に対しても高い認識性能を示した。夜間歩行者認識は、従来機種での昼間歩行者認識と同等レベルに性能を向上。このことが同試験の評価項目である「対歩行者衝突被害軽減ブレーキ」などで高評価を獲得することに貢献した。
JNCAP(Japan New Car Assessment Program:自動車アセスメント)は、国土交通省と自動車事故対策機構が実施している自動車の安全性能評価試験。中でも、予防安全性能評価は、衝突が避けられない場合に自動でブレーキをかける技術など、自動車の先進安全技術が対象となり、「被害軽減ブレーキ」「車線逸脱抑制装置」などの性能が評価される。
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