トヨタの超小型EVは「オープン価格で販売」、電池活用まで事業を企画:電気自動車(3/3 ページ)
トヨタ自動車は2019年6月7日、東京都内で会見を開き、電気自動車(EV)の普及戦略を説明した。超小型EVを活用した新たなビジネスモデルの構築や、さまざまなEVの低コストで効率的な開発とグローバル展開、電池の供給体制整備や電池の付加価値を最大限に生かすビジネスモデル構築などに取り組む。
「今のビジネスの延長で2025年にEV100万台は難しい」
今後も、トヨタ自動車の想定を上回るペースで電動車が普及すれば、HVやPHVだけでなくEV向けの電池も必要になる。より多くの電池を短期間で供給するため、プライムアースEVエナジーや、パナソニックと準備中の新会社に加えて、GSユアサや東芝、豊田自動織機、中国のCATLやBYDと協力する。中国メーカーの電池は、中国向けモデルでの採用を予定している。
中古EVの販売や車載用以外での電池のリユースを事業化する上では、電池の耐久性は重要性が一層高まる。電池の容量維持率は「プリウスPHV」の現行モデルで約75%だったが、中国向けに投入する「C-HR」のEVモデルではさらに高い容量維持率を目指す。EVをグローバル展開する段階では、さらに高い耐久性を目指す。プリウスPHVの初代モデルから培った材料、構造、制御システムなど電池の劣化を抑制する技術の蓄積が強みになるとしている。
寺師氏は電動車の台数規模の見通しも示した。EVのグローバル市場が120万台なのに対し、トヨタ自動車が2018年に販売したHVの台数も150万台であり、「HVも普及しているかといえばまだまだ」(寺師氏)という状況だ。電動車全体の普及ペースは2030年の目標に対し5年程度先行していると説明したが、「今のビジネスの延長で2025年にEV100万台は難しい」(同氏)とみている。
「規制で要求される台数を積み上げても100万台よりも少ない。お客さまが乗りたいと思うクルマが出てくるかどうかによってEVの販売台数が決まるが、数を売るためのEVという見方では市場のニーズが規制を追い越すことはない。自動車メーカーがビジネスを続けるには、ZEVやNEVの規制よりもCAFE(企業平均燃費)を乗り越えることの方が重要。そのためにはエンジンがついているもの、HVとPHVを目いっぱい頑張らなければならない。どのクルマを選ぶかはお客さま次第なので、全てをそろえて、法規を達成する。電動車の普及のうち、かなりの部分はHVになりそうだ」(寺師氏)
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