オークマが中国の産業開発区に生産子会社を設立:工場ニュース
オークマは、中国江蘇省の常州市武進国家高新技術産業開発区に、工作機械の生産子会社「大隈(常州)机床」を設立する。2019年6月に設立予定の新工場では、価格競争力の向上や技術力強化を図り、中国市場での需要拡大に対応する。
オークマは2019年5月7日、中国江蘇省の常州市武進国家高新技術産業開発区に、工作機械の生産子会社「大隈(常州)机床」を設立すると発表した。同年4月12日付で、同開発区管理委員会との投資協定に合意している。
大隈(常州)机床は、オークマが100%出資する現地生産子会社となる。現在、設立手続きが進められており、資本金は8億8000万円。同年6月の設立、同年10月の操業開始を予定している。
新子会社では、中国市場での需要拡大に対応するため、プレミアム・エコ「GENOS」シリーズの横形CNC旋盤と立形マシニングセンタを生産する。さらに、短納期対応や価格競争力の向上、エンジニアリング力強化により、生産拡大を図る。
工場建屋は、武進国家高新技術産業開発区の既存建屋の一部を賃借。内部を改修して、工場として利用する。工場は、組み立てエリアが3676m2、展示場が379m2、オフィスが676m2となっている。生産機種は、CNC旋盤がGENOSシリーズの「L250II-e」「L400II-e」「L2000-e」「L3000II-e」の4機種、マシニングセンタが同シリーズ「M460-VE-e」「M560-V-e」の2機種となる。
大隈(常州)机床では、GENOSシリーズのセミノックダウン生産に向け、組み立て作業を段階的に増やしていく。初期は台湾の「大同大隈」から完成機に近い状態の機械を輸入し、オークマからNC装置の供給を受けて周辺機器を取り付けるなど、大隈(常州)机床での組み立て作業は、限定的な内容とする。
その後、現地調達比率を段階的に引き上げ、2021年には金額割合で約70%の部品、ユニットなどを現地調達するセミノックダウン生産とする。この段階では、大同大隈は基幹ユニットや工具交換装置などを供給。オークマは、NCソフトやユニット、ドライブユニット、サーボモーターなどを供給する。周辺機器、カバー、鋳物加工品などは、現地調達を検討している。
生産台数は、2019年は月産10台規模で、2020年には月産40台、2022年には月産75台と段階的に拡大する。大隈(常州)机床で生産した工作機械は中国市場でのみ販売し、販売とサービスについては、上海にあるオークマの販売子会社「大隈机械」が担う。
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