中国製造2025が目指すもの:SCF2017(1/2 ページ)
「SCF2017/計測展2017 TOKYO」では、テーマセッションに広東省自動化学会理事長の劉奕華氏が登壇。「中国製造2025の最新事情、広東省の製造業とスマート製造」をテーマに、広東省の製造業の現状および中国製造2025の活用、戦略などを紹介した。
「SCF2017/計測展2017 TOKYO」(2017年11月29日〜12月1日、東京ビッグサイト)では、テーマセッションに広東省自動化学会理事長の劉奕華氏が登壇。「中国製造2025の最新事情、広東省の製造業とスマート製造」をテーマに、広東省の製造業の現状および中国製造2025の活用、戦略などを紹介した。
製造業の中心地「広東省」
広東省は中国を代表する製造業の拠点であり、中国内で1位の経済規模を誇っている。広州市、深セン市、東莞市、佛山市などの都市を中心に製造業がこの地域の基礎を作り上げた。同省の中央部を流れる珠江の東岸にハイエンドの電子情報産業が集中しており、西岸は先進的な設備製造業のクラスタが点在している。
世界的な企業も多く、華為技術(ファーウェイ)、美的集団(ミデアグループ)、珠海格力電器(グリーエレクトリック)など16社がフォーチュン500(世界企業番付)に入っている。さらにこのうち9社がスマート製造業に関わっているという。
自動車産業も盛んで乗用車、バスなどが生産されている。中心となっているのはトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、いすゞ自動車など日系メーカーである。また「中国の家電は50%が広東省に集中している。佛山市の順徳区は『家電の都』とも呼ばれ、ここだけで中国全土の25%(の生産額)に達する」と家電の売上高が特に大きいことを劉氏は強調した。
さらに大型の設備製造業が広東省の工業生産の21%を占めている。具体的にはNC工作機、印刷機、造船業、海上エンジニアリングなどだ。コアとなる産業基地が整備され、広東省全体の経済成長を押し上げている。この他、産業規模だけでなく、アプリケーションや応用分野でも中国1位の実績がある。
工作機械は中国第4位であり深セン市などに集中しており、成形機は同3位で、佛山市、広州市に集まっている。このうちプラスチック成形機は、産業規模およびその利用率は中国トップだ。建設機器は中国1位で、佛山市などで生産されている。陶磁器はアジアで1位を誇る企業グループがある。その他、新エネルギーなども規模が大きい。
制御機器関連では広東デジタルコントローラーという企業が16年連続中国1位の位置にあり、主にローエンド、ミドルエンドのインバータや、デジタルコントローラーを生産している。国産のデジタルコントローラーは中国企業が大きな市場となっている。
ロボット産業も中国1位の規模で「重要な位置を占め、今後さらに発展することが期待されている」(劉氏)と述べた。レーザー加工、3Dプリンティング関連、木工機械、ガラス機器、金型製造業なども高い実績がある。重工業については中国の東北地域、西方地域が盛んであり、広東省でのウエイトは低い。ただ、大手企業が進出し原子炉のタービン設備を生産するなど、上昇する気配も出てきたという。これらのように広東省は製造業の集積地であり、中国が進める「中国製造2025」についても大きな役割を担う地域だといえる。
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