木目柄からナビが浮かび上がる――加飾と表示機能を一体化した次世代加飾パネル:人とくるまのテクノロジー展2019
大日本印刷(DNP)は「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、意匠性の高い加飾パネルと光学性能を融合させた「次世代加飾パネル」を提案。シームレスな内装デザイン、車内空間づくりが可能になるという。
注目集める「次世代加飾パネル」、内装のデザイン性向上に寄与
大日本印刷(DNP)は「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、「モビリティの未来をいろどる・未来をまもる」をテーマに、同社が長年培ってきた“P&I(印刷と情報)”の強みを生かし、デザイン性と機能性を両立させた未来の製品コンセプトなどを多数訴求した。
中でも来場者の注目を集めていたのが、展示会初出品となる「次世代加飾パネル」(開発中)である。木目柄や幾何学柄といった意匠性の高い加飾パネルと、ディスプレイや操作スイッチなどを表示できる光学性能を融合させたもので、意匠面の加飾とオン/オフ可能な情報表示機能が一体化することにより、シームレスな内装デザイン、車内空間づくりが可能になるという。
開発の経緯について、同社説明員は「安全性の向上、自動運転の実現などを背景に、近年クルマに搭載されるセンサーの数が増加しており、それらをモニタリングするためのディスプレイの数も今後ますます増えていくものと考えられる。しかし、ディスプレイの増加は、内装のデザイン性を大きく損なう可能性があり、デザイナーにとって邪魔なものでしかない。そこで、われわれが培ってきた技術を応用し、デザインと表示機能を融合させた新しい提案ができないか? という思いから次世代加飾パネルの開発に着手した」と語る。
DNPが培ってきた加飾フィルム技術と光学技術の融合で実現
次世代加飾パネルは、同社の加飾フィルム技術と光学技術を活用することで、通常時は木目柄や幾何学柄が施された意匠面を実現し、必要なときにだけディスプレイ情報を(透過させて)映し出すという表示機能を実現する。また、同パネルに静電容量方式のタッチパネルを付加することでカーナビゲーションやスイッチ操作も可能となる。「一般的にこうしたものを実現する場合、半透過のフィルムを使って光を透過させることになるが、色や柄が重なってしまい情報をきれいに表示することが難しい。しかし、われわれが培ってきた技術を応用して開発したこのパネルを使えば、柄が重なることなく表示したい色や情報をしっかりと映し出すことができる」(同社説明員)。
展示ブースでは自動運転車のインパネ(インストルメントパネル)をイメージした次世代加飾パネルのデモアプリケーションを展示。タッチ操作により、各種メーター情報、カーナビゲーション、エンターテインメント(音楽再生)、ディスプレイの非表示を選択し、表示を切り替えるデモを披露していた。
今回のデモは未来の自動運転車を見据えたものだが、もう少し現実的な用途として、簡易的なインフォメーションを表示するサブディスプレイとしての利用や、エアコンのスイッチのオン/オフを組み込んで利用することなども考えられるという。また、次世代加飾パネルの応用として、カメラを表に見せない(カメラの存在を隠した)顔認証システムの実現に関する提案も行う。
量産開始は2020年、技術課題は光の利用効率の向上
次世代加飾パネルに関しては、既に自動車メーカー各社から引き合いがあり、将来的にどう活用していくかを含めて検討を行っているところだという。
同社説明員は「次世代加飾パネル用のフィルムの量産開始は2020年になる見通しだ。それまでにコスト面の精査を進めるとともに、技術課題である光の利用効率のさらなる向上を進めていく必要がある」と述べる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 初見で使いこなせますか、最新輸入車のHMI
初めて乗ってから説明書なしでどこまで使いこなせるか実験した。 - 「MaaS」のサービスに深入りしないパナソニック、コックピットをそろえて対応
コモディティ化と、製品にサービスを付加する難しさを家電で経験してきたパナソニック。家電が通ったこれらの問題は、今後自動車にも起こり得る。自動車部品メーカーとして世界トップ10入りを目指す同社は情報化が進む自動車に対し、何を提案していくのか。 - 車いすをカッコいい乗り物に! 既成概念を打ち破る「WHILL」のデザイン思想
「全ての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションに掲げ、誰もが乗りたいと思えるパーソナルモビリティを手掛けるWHILLの平田泰大氏に、歴代「WHILL」の変遷を踏まえながら、デザインに込められた思いや、各世代でどのようなチャレンジが行われたのかを詳しく聞いた。 - パナソニックの歩行トレーニングロボが“介護施設の人気者”になった理由
パナソニックが開発を進める「歩行トレーニングロボット」。健康寿命延伸を目指した製品だが、施設での実証現場でも当初は使ってもらえなかったという。それが現在は順番待ちが生まれるなど、状況が大きく変わった。その背景には「デザインの力」があった。「歩行トレーニングロボット」のデザインへの取り組みを紹介する。 - パナソニックのクルマの作り方、デザイナーとエンジニアで一緒に企画すると……
現時点では無人運転車は市場に出ておらず、使ったことがある人もいない。そういったモノについて、どのように使い方や在り方を考えたのか。パナソニックに話を聞いた。 - 4畳半で物がなくても豊かな暮らし、2030年のテクノロジーとサービスで
パナソニック アプライアンス社のデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」は、未来の暮らしを考えるイベント「EXPANDED SMALLー豊かさを拡げる2030年のくらし展ー」(2019年3月2〜5日、港区南青山)を開催した。