タイで進むタイランド4.0、日立製作所が取り組むASEANのデジタル変革:第4次産業革命の現在地(4/4 ページ)
全世界的に第4次産業革命への動きが加速する中、タイでもタイランド4.0とする政策が進行。政府間での協力での覚書なども締結されているが、民間でも日本企業とタイ企業との連携強化の動きが進む。その中で日立製作所はいち早くタイにIoT拠点である「Lumada Center Southeast Asia」を設立し、東南アジア地域企業のデジタル変革を支援する取り組みを行う。日立製作所の取り組みを追う。
日立製作所のタイでの取り組み
これらの「Lumada Center Southeast Asia」での取り組みを通じて、日立製作所ではタイおよびASEANにおけるITおよびIoT関連の売上高を大きく拡大する狙いである。日立製作所のタイでの取り組みでは、自動車産業向けの売上高が最も大きく、ITやIoT関連の売上高の比率は低い。タイランド4.0および「Lumada Center Southeast Asia」をきっかけとしてこの売上高を大きく成長させることを目指す。
日立アジア(タイランド)のスマートマニュファクチャリング&IoTビジネスセンターのエグゼクティブディレクターである大橋章宏氏は「タイ拠点の売上高は現状は2000億円程度だが、2021年度には3000億円まで引き上げる方針である。その中心をIoT関連が担う」と述べている。
タイにおけるITやIoT関連の売上高の中心は現状では日本企業の現地拠点からの受注が中心となっているが、「Lumada Center Southeast Asia」をきっかけに現地企業との関係性強化を図る狙いである。「現地企業は工場管理などでもまだ紙とExcelで行うケースも多く、IT化とIoT化が同時に進むようなところもある。IoTをフックにIT関連の受注にもつなげていく」と大橋氏は語っている。
日立アジア(タイランド)のエグゼクティブディレクターである大橋氏(右)と日立アジア(タイランド)のLumada Center Southeast Asiaのディレクターであるソムサック・ガーンジャナカーン氏(クリックで拡大)
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