自動運転の需要調査、公道実証にはネガティブな印象、MaaSは高齢者から期待大:自動運転技術
損害保険ジャパン日本興亜は2019年4月22日、自動運転車やMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)に関する意識調査の結果を発表した。2017年に実施した同様の調査と比較して、自動運転機能を利用する意向や、自動運転車の普及に対する期待が高まっていることが分かった。また、MaaSの認知度は低いものの、利用してみたいという回答は半数を占めた。
損害保険ジャパン日本興亜は2019年4月22日、自動運転車やMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)に関する意識調査の結果を発表した。2017年に実施した同様の調査と比較して、自動運転機能を利用する意向や、自動運転車の普及に対する期待が高まっていることが分かった。また、MaaSの認知度は低いものの、利用してみたいという回答は半数を占めた。
調査は2019年2月に10〜70代の男女、合計3360人を対象に実施した。各年代で回答者数は均等で、男女240人ずつとした。自動運転機能の利用意向を尋ねた設問では、緊急時以外は自律走行するクルマや、特定の状況もしくはあらゆる状況下で完全自動走行するクルマを利用したいという回答者が増えた。緊急時以外は自律走行するクルマについては5.4ポイント増の53.0%、特定の状況における完全自動運転車は7.6ポイント増の39.3%、あらゆる状況下における完全自動運転車は1.9ポイント増の33.6%となった。なお、運転支援機能はこれらと比較すると利用意向が高く72.6%に上った。
自動運転車の普及によって期待する効果としては、交通事故の減少を挙げる回答が最も多く全体の77.8%を占めた。次いで、高齢者の移動支援や行動範囲の拡大(46.6%)、運転負荷の軽減や快適性の向上(44.0%)、渋滞の緩和(34.2%)が挙がった。
自動運転車の普及に対して不安に感じることも尋ねた。回答の上位は、ドライバーの運転技量の低下や、自動運転システムの誤作動といった項目だった。しかし、交通事故が生じた際の責任の所在があいまいになることが3.6ポイント増の48.5%、車両価格の高騰が3.7ポイント増の43.3%、車検や修理費用の高騰が4.0%増の30.0%と、前回の調査よりも回答者が増えた。
自動運転車の公道実験に関しては、ネガティブな印象を持つ回答者が過半数を占めた。こうした回答者のうち、76%が安全対策を講じていれば公道実験を行ってもよいと答えた。その回答例としては、人間が運転席に乗車すること(56.3%)、実験のルートに一般車両が侵入しないよう通行止めにすること(35.6%)、実験時に事故が発生しないよう事前に調査や対策を行うこと(35.2%)などがあった。
MaaSを利用したい場面について尋ねた結果、旅行で観光地周辺の移動で利用したいという回答が最も多く、全体の64%を占めた。次に多いのは自宅から目的地までの日常的な移動で35%に上った。この項目は回答者の年齢が上がるほど期待が高まり、10〜30代、40〜50代では30%前後だったのに対し、60〜70代では47.8%に上った。小さい子どもを連れて外出しやすくなることに対する期待の声もあった。
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