ソニー出身者が立ち上げたIoTプラットフォームは「データの民主化」を目指す:製造業IoT(2/2 ページ)
ベンチャー企業のジャスミーは、開発中のブロックチェーン技術を活用したIoTラットフォーム「Jasmy IoTプラットフォーム」の事業展開について説明。2019年4月に設立する予定の「Jasmy Initiative」に参画する企業と、Jasmy IoTプラットフォームを使った実証実験を夏ごろから始める計画だ。
1トランザクション当たり1秒以下を実現
Jasmy IoTプラットフォームの特徴は7つある。1つ目は、仮想通貨などと同様に、利用者特定、認証する「KYC(Known Your Customer)」である。2つ目は、同プラットフォームがIoTに対応すべく開発した、利用するモノを特定、認証する「KYM(Known Your Machine)」だ。そして3つ目〜5つ目の特徴は、ブロックチェーン技術の根幹となる「IoTに最適化した高速のコンセンサスアルゴリズム」「認証データを改ざんされない分散台帳に記録」「機器同士をトークンで制御(スマートコントラクト)」である。特に、高速のコンセンサスアルゴリズムについては、仮想通貨のうちビットコインが1トランザクション当たり10分、イーサリアムが1分というのに対して1秒以下を実現している。「IoTで活用するには高い応答性が求められる。今後も高速化を進め、数十ミリ秒クラスまで挑戦したい」(吉田氏)としている。
6つ目の特徴は分散ストレージ「Jasmy.NET」で、画像や音声といった容量の大きいデータの保存に用いる。そして7つ目の「P2P通信」により、TCP/IPなどのプロトコルを介さずJasmy.NETとの間で痕跡の残らない通信を実現する。
Jasmy IoTプラットフォームによって提供する機能は、個人情報を管理する「SKC(Secure Knowledge Communicator)」とIoT機器を管理する「SG(Smart Gurdian)」の2つ分かれる。会見では、SKCの活用事例として、サポートセンターとやりとりする際における個人情報の提供と、対応終了後の個人情報削除が行われる様子を見せた。
またジャスミーは、Jasmy IoTプラットフォーム以外に“すぐに使える”をコンセプトとしたIoTデバイスも提供する。シングルボードコンピュータの「JCB(Jasmy Single Board Computer with LTE)」と、スマートウォッチ型の「Watch(Jasmy Smart Watch with LTE)」の2種類だ。クアルコムのプロセッサ「Snapdragon」とAndroidを用いており、どちらもLTE通信が可能になっている。
このうちJCBとSGの組み合わせ事例として、自宅のドアホンが鳴らされたときにスマートフォンに知らせるサービスのデモも披露した。
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