オリンパスの「ICT-AIプラットフォーム構想」、医療と産業の両分野で展開:製造業IoT(2/2 ページ)
オリンパスは2019年3月13日、東京都内で会見を開き、同社が事業を展開する医療、ライフサイエンス、産業分野に向けて「ICT-AIプラットフォーム構想」を立ち上げたと発表した。
ワークフローを効率化するICTやAIを提供
ICT-AIプラットフォーム構想の発表に併せて、その構築と実用化に向け、2019年4月1日付で技術統括役員直轄のグローバル役職として「Customer Solutions Development, Global」を設立することも発表された。
同役職のグローバルヘッドには、MedPresenceを展開するImage Stream MedicalのCEOを務めるエディー・ミッチェル(Eddie Mitchell)氏が、グローバル副ヘッドには、オリンパス ソフトウェア・ICT開発本部 ICTソリューション部 副部長の相澤光俊氏が就任する。
会見では、ミッチェル氏がビデオメッセージでMedPresenceの特徴を説明した後、相澤氏が登壇し、ICT-AIプラットフォームの方向性を説明した。
内視鏡を使う国内の医療従事者を例にとると、現在最も大きな課題になっているのは時間外労働の多さだ。オリンパスが世界シェア7割を誇る内視鏡の需要は高まっているが、内視鏡検査のワークフローは検査準備から、内視鏡挿入、診断、処置、レポート作成、機器の洗浄や消毒作業などかなり多く、人手不足の状態にある医療従事者にとって新たに使い方を学んだり、使いこなしたりする余裕は少ない。
相澤氏は「ICT-AIプラットフォームは、これらのワークフローを効率化し、内視鏡を使う上での顧客満足を得られるようなICTやAIを提供していく。実際に開発を強化しているソリューションも、機器の有効活用や適正な投資、医療従事者の負荷削減が目的になっている。同じことは、内視鏡だけでなく、外科手術、産業分野における検査などでも求められているはずだ」と述べている。
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